研究課題/領域番号 |
21K11996
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分61020:ヒューマンインタフェースおよびインタラクション関連
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
高田 直樹 高知大学, 教育研究部自然科学系理工学部門, 教授 (50290713)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
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キーワード | 三次元ディスプレイ / 時空間分割電子ホログラフィ / 重み付きバイナリ計算機合成ホログラム / 階調表現 / リアルタイム再生 |
研究開始時の研究の概要 |
電子ホログラフィは「究極の三次元テレビ」になるものと考えられている.しかし,コンピュータで作成された計算機合成ホログラム(CGH)の計算量は膨大であり,未だ実用化されていない.また,三次元物体を構成する点群が膨大になると,再生像が劣化する問題が知られている.さらに,再生像の階調表現性の向上が望まれる. 本研究では,汎用のコンピュータ部品を用いて1台のPCに6枚の最新GPUを搭載した低コスト・省スペース型GPUクラスタ電子ホログラフィシステムを構築する.最終的に,現在所有しているGPUクラスタも用いて膨大な物体点で構成された階調を持つ三次元物体の高精細なリアルタイム三次元動画再生を実現する.
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研究実績の概要 |
本研究では,実用化に向け,膨大な物体点で構成された階調を持つ三次元物体の高精細なリアルタイム三次元動画再生を実現することを目的とする. 令和4年度は,次に示す①~③を行った.①ヘテロ型マルチGPUクラスタによるリアルタイム電子ホログラフィシステムの開発.②Ada LavelaceアーキテクチャのGPUによるCGH計算高速化の検討.③ポータブルホログラフィックプロジェクタを用いた階調を持つ三次元映像の投影. ①では,過去の計算資源の有効活用のために,異なるGPUで構成されたヘテロ型マルチGPUクラスタシステムを構築した.また,GPUの性能に合わせてCGH計算の負荷を分散し,異なるGPUで構成されたヘテロ型マルチGPUクラスタシステムでCGH計算を高速化するプログラムを開発した.本研究で開発したヘテロ型マルチGPUクラスタシステムは,理論上,使用するGPUの枚数に制約がない.必要に応じて計算ノードを増加させてスケールアウトすることにより,膨大な物体点で構成された三次元物体のリアルタイム動画再生が可能となる.② 新しいアーキテクチャAda LavelaceのGPUが発売された.Ampereアーキテクチャと同様,CUDAコアに比べてSpecial Function Unit(SFU)の数が少なくなっている.昨年度開発したCGH計算アルゴリズムを用いて高速なCGH計算を実現できるかを検討した.③において,小型のDMDを搭載したプロジェクタ評価ボードをシングルボードコンピュータに搭載したポータブルホログラフィックプロジェクタを開発した.重み付きバイナリCGH(BW-CGH)を用いて,光源の明るさの調整やCGHの再計算をせずに,再生される三次元映像の明るさを自在に調整することが可能となった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和4年度は,次の①~③を行った.①ヘテロ型マルチGPUクラスタによるリアルタイム電子ホログラフィシステムの開発.②Ada LavelaceアーキテクチャのGPUによるCGH計算高速化の検討.③ポータブルホログラフィックプロジェクタを用いた階調を持つ三次元映像の投影. ①において,CGH計算ノード(NVIDIA GeForce RTX 3080 10GB:12 GPU(2ノード),NVIDIA GeForce RTX 2080 SUPER:6 GPU(1ノード),NVIDIA GeForce GTX 1080 Ti:12 GPU(2ノード))とCGH表示ノード(NVIDIA GeForce RTX 3070 Ti:1 GPU(1ノード))で構成されたヘテロ型マルチGPUクラスタシステムを開発した.振幅型CGHにおいて約80万点からなる三次元物体を30fpsで再生することに成功した.②では,最新のAda LavelaceアーキテクチャのGPUを性能評価した.Ampereアーキテクチャと同様,CUDAコアに比べてSpecial Function Unit(SFU)の数が少なくなっている.昨年に開発したCGH計算アルゴリズムをNVIDIA GeForce RTX 4090に実装し,NVIDIA GeForce RTX 3080 10GBの性能と比較した.理論性能と同程度の計算高速化が実現され,昨年開発したアルゴリズムの有効性が示された.③では,ポータブルホログラフィックプロジェクタを開発した.立方体のスクリーンに焦点のあった4,840点からなる三次元映像を投影し,その明るさを自在に調整することに成功した.以上のように,令和4年度において一部計画を変更したが,来年度には当初計画した研究目標を達成できる見込みである.このことより,「おおむね順調に進展している」と評価した.
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度は,これまでに開発したシステムおよびプログラムを用いて,次の①~③を行う予定である. ①ヘテロ型マルチGPUクラスタによるリアルタイム電子ホログラフィシステムの増強.②膨大な点群からなる階調を持つ三次元物体の高精細なリアルタイム三次元動画再生.③ ポータブルホログラフィックプロジェクタを用いた階調を持つ三次元映像の投影. ①においては,Ada LavelaceアーキテクチャのGPUを搭載したCGH計算ノードを,令和4年度に開発したシステムに加えることで演算性能を向上させる.②では,①のリアルタイム電子ホログラフィシステムを用いて,膨大な点群からなる階調を持つ三次元物体の高精細なリアルタイム三次元動画再生を実現する.③においては,より解像度の高いDMDを用いてポータブルホログラフィックプロジェクタを開発し,階調を持つ三次元映像の投影を試みる.
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