研究課題
基盤研究(C)
電子ホログラフィは「究極の三次元テレビ」になるものと考えられている.しかし,コンピュータで作成された計算機合成ホログラム(CGH)の計算量は膨大であり,未だ実用化されていない.また,三次元物体を構成する点群が膨大になると,再生像が劣化する問題が知られている.さらに,再生像の階調表現性の向上が望まれる.本研究では,汎用のコンピュータ部品を用いて1台のPCに6枚の最新GPUを搭載した低コスト・省スペース型GPUクラスタ電子ホログラフィシステムを構築する.最終的に,現在所有しているGPUクラスタも用いて膨大な物体点で構成された階調を持つ三次元物体の高精細なリアルタイム三次元動画再生を実現する.
本研究では,実用化に向け,膨大な物体点で構成された階調を持つ三次元物体の高精細なリアルタイム三次元動画再生を実現することを目的とする.令和5年度は,これまでに開発したシステムおよびプログラムを用いて,次の①~③を行った.①ヘテロ型マルチGPUクラスタによるリアルタイム電子ホログラフィシステムの増強.②膨大な点群からなる階調を持つ三次元物体の高精細なリアルタイム三次元動画再生.③ ポータブルホログラフィックプロジェクタを用いた階調を持つ三次元映像の投影に関する検討.①においては,振幅型計算機合成ホログラム(CGH)で階調表現を行うため,重み付きバイナリCGH(BW-CGH)をビットプレーンとして使用する.BW-CGHのリアルタイム計算を実現するため,CGH計算ノード(NVIDIA GeForce RTX 3080 10GB:12 GPU(2ノード),NVIDIA GeForce RTX 4090 24GB:12 GPU(2ノード))とCGH表示ノード(NVIDIA GeForce GTX 1080 Ti:1GPU(1ノード))で構成されたヘテロジーニアス型マルチGPUクラスタシステムを開発した.なお,ネットワークには,10ギガビット・イーサネットを使用した.重み付きバイナリCGHを用いて8階調を持つ約100万点の三次元物体を50fpsでリアルタイム再生が可能となった.②では,①のリアルタイム電子ホログラフィシステムを用いてBW-CGHを計算する.高精細化を目的とした時空間分割多重法を併用して,約100万点からなる8階調を持つ三次元物体の高精細なリアルタイム三次元動画再生を実現した.③においては,解像度960×540のDMDを用いたポータブルホログラフィックプロジェクタを開発した.しかし,BW-CGHの描画速度が遅く,今後改善が必要であることがわかった.
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Chinese Optics Letters
巻: 19 号: 11 ページ: 110501-110501
10.3788/col202119.110501
http://whale.is.kochi-u.ac.jp/index.html