研究課題/領域番号 |
21K12020
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分61030:知能情報学関連
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
高橋 和子 関西学院大学, 工学部, 教授 (30330400)
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研究分担者 |
増田 佳代 関西学院大学, 理学部, 教授 (40280416)
巳波 弘佳 関西学院大学, 工学部, 教授 (40351738)
壷井 基裕 関西学院大学, 生命環境学部, 教授 (60411774)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 定性空間推論 / 構造地質学 / トポロジー / 論理推論 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は,定性空間推論の手法を使って,時系列で与えられた空間データで起こっている形状変化を論理的に推論するシステムの基盤を与えることを目的とする.本研究の特徴は,隣接するオブジェクト同士が制約条件を満たしながら変形していく過程という,これまでに定性空間推論の研究分野では扱われてこなかった側面を対象とすることである.このような様相をもつ形状変化として,地層をモデル化しそれを表す記号表現を提案する.そしてその表現間での状態遷移規則を与え,構造の形成過程の説明や今後の変化を推論する手法や局所データから大域的な構造を推論する手法を構築する.このモデル化とトポロジーの関係についても考察する.
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研究実績の概要 |
本研究は,隣接するオブジェクトとの接続関係についての制約条件を満たしながら形状変化をする空間データに対して,論理的に推論するシステムの基盤を与えることを目的とする.代表的な応用例として地層を主な対象とし以下の研究を行った. (1) 褶曲構造の断面図を局所的な地層データとしてモデルを定義し,1次元の記号列として定性的に表現する記述言語を考案した.また,記号表現の妥当性を定義しモデルとの対応関係を示した.(2) 与えられた記号表現の妥当性判定および妥当な場合に対応するモデルの図を描くシステムを実装した.(3) この記号表現上で,層のまがる方向と断面図の境界部分に出現する層の構成順序を引き出すことで,2つの局所データ間の同一性と連続性を機械的に判定する手法を考案した.この手法をもとに,離れた場所にある2つの曲線分およびそれらの相対的な位置関係が与えられたとき,複数の曲線分を補間していくことでこの2つをつなぐ円滑な曲線を得る方法を定式化した.(4) 褶曲はなく,また,不整合面は含まない単純な地層を対象として,複数の地点でボーリング柱状図が与えられたときにそれらを結ぶ地層の傾きを推論する方法を示した.柱状図は層の堆積順のみを与える1次元データとし,そのペアから地層の断面図である2次元データを得.さらにそれを使って3次元的な傾きを推論する手法を提案した.(5) 不整合面を含む地層も表せるように記述言語を拡張した.不整合面を含む地層を対象に,柱状図から断面図を得るように(4)の推論方法を拡張するとともに,断面図からそれに対応する記号表現を導く手法を考案した.具体例として産業技術総合研究所が公開しているボーリング柱状図に適用しこの推論方法の有効性を調べた. これらの結果,地層の構造を解析するにあたり,記号表現を用いることで地層の形成に関する論理的根拠を示すシステムの基盤を与えることができた.
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