研究課題/領域番号 |
21K12063
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分61040:ソフトコンピューティング関連
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研究機関 | 山陽小野田市立山口東京理科大学 |
研究代表者 |
井上 啓 山陽小野田市立山口東京理科大学, 工学部, 教授 (70307700)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | カオスの定量化 / リアプノフ指数 / カオス尺度 / 拡張型カオス尺度 / カオス / 多次元時系列 / 非線形データ |
研究開始時の研究の概要 |
非線形力学系においては、カオスの存在が長期予測を不可能とする大きな要因となる。そのため、力学系のカオスを定量化しカオスの度合いを把握することが、カオスを制御・応用する上で重要となる。しかし、カオスの定量化に最もよく用いられるリアプノフ指数は、力学系に関する情報が時系列データでしか得られない場合は、計算困難であることが知られている。一方、カオス尺度は時系列データから直接計算でき、リアプノフ指数と同等の評価を与えるが、リアプノフ指数よりも常に高い値を取る。そこで、本研究では、領域分割要素の細分化スケールという観点が追加された拡張型カオス尺度により多次元時系列データのカオスを定量化することを試みる。
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研究実績の概要 |
拡張型カオス尺度の改良形式の活用という観点から,多次元カオス写像のすべてのリアプノフ指数を求める方法について検討した.拡張型カオス尺度の改良形式は,写像点数や軌道の領域の初期分割数が有限の下でも,拡張型カオス尺度の値がリアプノフ指数の総和とほぼ等しい値を取るように拡張型カオス尺度の計算式を改良したものである.本研究では,さらに,拡張型カオス尺度の改良形式を計算する過程で,すべてのリアプノフ指数を求められる可能性があることを示した.そこで,拡張型カオス尺度の改良形式を用いた計算アルゴリズムを新たに提案し,実際に,典型的な2次元カオス写像に適用した.その結果,典型的な2次元カオス写像の2つのリアプノフ指数の近似値が得られることを数値計算上でも示した.
多次元連続系の数理モデルを用いた拡張型カオス尺度の評価を試みた.物理現象の解析においては,連続的な微分方程式として物理現象を数理モデル化し,その数理モデルを通して現象の解明を試みる方法がよく用いられる.現在までに,カオスの性質を有するいくつかの多次元連続系の数理モデルが提案されている.本研究では,3次元の微分方程式として記述されるローレンツ系のカオスを,拡張型カオス尺度を用いて評価を試みた.実際には,上記で提案した拡張型カオス尺度の改良形式を用いた計算アルゴリズムをローレンツ系に適用した.2次元カオス写像と比べて,3次元空間上での領域分割は取り扱いが難しく,軌道点数と領域分割の適切な設定について,検討を進めている段階である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
多次元カオス写像のすべてのリアプノフ指数を求める方法を提案できたが,多次元連続系の数理モデルに対する拡張型カオス尺度については評価・検証が済んでおらず継続中である.以上により,現在までの進捗状況はやや遅れていると判断する.なお,令和4年度は,査読付論文を1件,国内学会・研究会において4件(招待講演を1件含む)の成果発表を行うことができた.
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今後の研究の推進方策 |
多次元連続系の数理モデルを用いた拡張型カオス尺度に関する研究について引き続き取り組む.また,観測された時系列データを用いた拡張型カオス尺度の評価に関する研究として,拡張型カオス尺度によるレーザーカオスや交通流のカオスの定量化についても試みる.
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