研究課題/領域番号 |
21K12211
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分63010:環境動態解析関連
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研究機関 | 熊本県立大学 |
研究代表者 |
小森田 智大 熊本県立大学, 環境共生学部, 准教授 (10554470)
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研究分担者 |
土屋 健司 国立研究開発法人国立環境研究所, 地域環境研究センター, 特別研究員 (70739276)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
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キーワード | 干潟 / アサリ / 基礎生産 / 二枚貝 / 物質循環 / 二次生産 / 一次生産 / 底生微細藻類 / バクテリア / ホトトギスガイ / 有明海 / 砂質干潟 / 生物生産 |
研究開始時の研究の概要 |
有明海のアサリ漁業低迷は,ホトトギスガイとの種間競争と餌不足が決定打である。ホトトギスガイは高密度個体群を干潟に形成し,糞をためることで,底泥を酸欠にし,アサリを駆逐する。 謎である餌不足について,「ホトトギスガイによる餌の収奪が,アサリの餌不足を引き起こし,底泥のバクテリアがホトトギスガイを支えるエネルギー源になる」と仮説を立てた。この仮説を検証するため,干潟のホトトギスガイの餌要求量と,基礎生産量・バクテリア生産量を比較し,ホトトギスガイへの餌供給過程を明らかにすることを目的とする。
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研究成果の概要 |
本研究では、基礎生産の室内培養実験と係留系観測により,河口干潟の水柱と堆積物の基礎生産量を統一的な方法で高解像度かつ長期間(1年)で定量し,その変動要因を考察した.堆積物の基礎生産は水柱の基礎生産の減少後に卓越しており,水柱の基礎生産が堆積物の基礎生産を制限することが示唆された. また、河口干潟で水柱と堆積物の基礎生産量、アサリの二次生産量および安定同位体比を用いて底生微細藻類と植物プランクトンへの摂餌圧の季節変動を評価した。アサリによる摂餌圧は植物プランクトンで0.8-3.8倍、底生微細藻類で5.0-26.5倍を示し、この干潟ではアサリの高密度な個体群が年間を通して摂餌圧が高いことが示された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究では、河口干潟における基礎生産量は潮汐変動に依存すること、そしてそれを利用する高密度なアサリの個体群は想像以上に高い摂餌圧を示すことを明らかにした。この成果は、これまで謎であった干潟生態系の豊かさを解き明かす鍵になり得る。また、従来は動物が生息していない空間は埋め立ての対象となる可能性が高かった。しかし、本研究で得られた成果から、「一見すると無生物である空間でも光合成が行われており、その空間があさりなどの二枚貝の生産を支える」という知見が得られた。この知見は、今後の沿岸域の開発を進める上で必須の知見である。
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