研究課題/領域番号 |
21K12258
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分63030:化学物質影響関連
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研究機関 | 金沢医科大学 |
研究代表者 |
坂田 ひろみ 金沢医科大学, 医学部, 准教授 (50294666)
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研究分担者 |
八田 稔久 金沢医科大学, 医学部, 教授 (20238025)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 組織透明化 / 多重染色 / 画像解析 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、発生毒性試験に利用可能な組織構築の定量解析法の確立を目指す。まず、より大きな標本の透明化を目指し、迅速組織透明化法(RAP)を改良し、ホールマウントおよび厚切りスライス標本における多重染色法を確立する。さらにこの手法で多重染色された標本を用い、特定領域の細胞数計測や特異的マーカー分子を発現する構造等の計測を試み、どのような指標についての解析が毒性試験に利用可能かについて検討する。その後、実際に毒性試験に利用することを想定し、発生毒性が明らかな陽性物質(エタノール、バルプロ酸など)により誘導した既知の形態学的変化が、本研究で考案した方法でも検出できるか否かを検証しする。
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研究実績の概要 |
本研究は、近年我々の研究グループが開発した迅速組織透明化法(RAP)を用い、発生毒性試験に応用可能な組織構築の定量的解析法を確立することを目的としている。2年目となる令和4年度は、マウス胎児および臓器のWhole mount標本と厚切りスライス標本でRAP-IHCによる免疫染色や各種染色を行い、高速共焦点画像取得が可能なハイスループット細胞機能探索システムを用いて標識構造物の3D像描出を試みた。 胎生10日のマウス胎児Whole mount標本をRAP-IHCで染色した。一次抗体には抗Neurofilament抗体、二次抗体にはAlexa fluor 488 anti-mouse IgGを用いた。染色後、高屈折率溶媒で透徹して免疫陽性反応をハイスループット細胞機能探索システムCV7000(横河電機)にて観察・撮像した。20 マイクロメーター毎に合計2 mmの深部スキャンを行って取得した。胎児の矢状断面Zスキャンでは、三叉神経、動眼神経等の脳神経が、両側とも明瞭に検出されており、胎児全体(2 mm厚程度)のZスキャンが可能であることが示された。神経線維の走行が明瞭に検出され、神経線維の3次元ネットワーク解析への応用が期待できる。現在、CV7000で高速取得した画像を簡便な操作で3次元像に再構築するためのファイル処理プログラムの作成を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、発生毒性試験に応用可能な組織構築の定量的解析法を確立することを目的としているが、RAPにより組織透明化を施した蛍光標識標本を高速共焦点画像取得システムで撮像することで、広いエリアの深部撮影が短時間で行えることが明らかとなった。現在、取得した画像ファイルを簡便に3次元像に再構築するシステムを検討しており、一連の方法が確立すると、高速で解析可能な組織構築定量解析システムが完成する。よって、本研究はおおむね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
現在までの検討により、RAPによる組織透明化と高速画像取得システムを組み合わせることで、従来より短時間で広範囲の深部スキャン画像の取得が可能になったが、精細な3次元像構築ための画像取得条件での撮影を行うと取得画像ファイルは膨大な数となる。本法を3次元組織構築定量法として発生毒性試験に応用するためには、この膨大な数の画像ファイルから3次元像が簡便に再構築できるシステムが不可欠であり、現在検討中である。また、より大型の標本にも対応するため、透徹に用いる高屈折率マウント液の改良や、撮影時にサンプルを入れるウェルプレートの形状や素材の検討も必要であるが、これについても既に検討を始めている。さらに、撮影時に標本が動いてしまうことも大きな問題となるため、この点についても対応策を検討したい。
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