研究課題/領域番号 |
21K12265
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分63040:環境影響評価関連
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研究機関 | 名城大学 |
研究代表者 |
楢崎 友子 名城大学, 農学部, 助教 (30772298)
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研究分担者 |
佐藤 克文 東京大学, 大気海洋研究所, 教授 (50300695)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 海洋ゴミ / アオウミガメ |
研究開始時の研究の概要 |
温帯域から熱帯域にかけて広く分布するアオウミガメは、世界中の個体群で海洋ゴミの誤飲が報告されている。漂着死亡個体を対象とした消化管内容物調査により、体内に残る海洋ゴミの種類や量に関する知見が集まりつつある一方、野生下のウミガメが実際に海洋ゴミに遭遇する頻度は不明である。本研究では動物装着型ビデオカメラおよび行動記録型を用いて、摂餌様式や海洋ゴミの密度が異なる生息域において、 アオウミガメの海洋ゴミ誤飲の発生可能性を検討し、海洋ゴミ誤飲リスクを評価する。
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研究実績の概要 |
海洋におけるプラスチックゴミ汚染が世界規模で深刻化するなか、ウミガメ類をはじめとした海洋生物による誤飲が問題視されている。本研究の対象種であるアオウミガメは温帯域から熱帯域に広く分布するが、生息域によって摂餌パターンが大きく異なることがわかってきた。世界各地で行われきた死亡漂着個体の調査から、アオウミガメの体内からは高確率で海洋ゴミが検出されるが、海洋ゴミの誤飲量などには地域差があることが報告されている。アオウミガメの海洋ゴミ誤飲のリスク評価を適正に行うためには、誤飲が起こる可能性(リスクの発生可能性)と誤飲によって引き起こされる健康障害などの重大さ(リスクの影響度)の2要素を組み合わせて評価する必要がある。本研究では、特に海洋ゴミ誤飲の発生可能性に着目し、摂餌パターンが大きく異なる調査海域(黒島、三陸沿岸域)においてアオウミガメが海洋ゴミに遭遇する頻度や、誤飲する確率を比較する。本年度は、黒島周辺海域を摂餌場とするアオウミガメ6個体を対象にバイオロギング手法を用いた調査を実施し、計438時間の行動データと計47時間のビデオデータを取得した。黒島個体は主に島周辺の浅海域に滞在し、シマテングサ、ミル属などの海藻類を摂餌していた。また三陸個体に比べて、海洋ゴミとの遭遇頻度が極めて低く、誤飲リスクの発生可能性が低いことが示された。現在は移動範囲や摂餌に費やす時間割合と誤飲リスクの発生可能性との関連性について解析を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度も放流実験を実施し、黒島では行動データと映像データを新たに6個体から取得することができた。いっぽう、三陸沿岸域においては新たな個体のデータを得ることができなかったため、やや遅れているとした。現在はこれまでに取得したデータを用いて、黒島と三陸沿岸域の2つの摂餌場のおける摂餌パターンの違いや海洋ゴミへの遭遇頻度について解析を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究では地理的に離れた2つの摂餌場(黒島、三陸沿岸域)におけるアオウミガメの海洋ゴミ誤飲リスクの評価を目的としている。2023年度は最終年度となるが、黒島に比べて三陸沿岸域におけるサンプル数が少ない。そこで前年度に三陸沿岸域で取得したデータに加え、過去に周辺海域で実施された研究のデータも活用して解析を行う予定である。2つの摂餌海域における海洋ゴミ誤飲の発生可能性に着目して海洋ゴミ誤飲リスクを評価し、研究成果について論文を執筆する。
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