研究課題/領域番号 |
21K12293
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分64020:環境負荷低減技術および保全修復技術関連
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
桑原 智之 島根大学, 学術研究院環境システム科学系, 教授 (10397854)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 含水酸化物 / 吸着 / 陰イオン / 複合含水酸化物 / 水酸基 / 非晶質 |
研究開始時の研究の概要 |
多種類のイオンが混在する地下水や温泉水から,ふっ素やほう素,砒素などの有害陰イオンを選択的に吸着する吸着剤を開発します。本研究では,3つの金属元素を基にした“三元素系複合含水酸化物(TMHOs:Ternary Mixed Hydrous Oxides)”の吸着容量の向上を目指します。有害陰イオンの吸着には,TMHOsの構造に含まれる水酸基(OH基)が重要な役割を果たしていると考えており,TMHOsが非晶質から結晶質へ移行するときに変化する水酸基の役割に注目して,吸着量を向上する手法を明らかにします。
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研究実績の概要 |
多種のイオンが共存する地下水や温泉水からふっ素やほう素,砒素などの有害陰イオンを効率的に除去することを目的に,これらを選択的に吸着する吸着剤を開発する。“三元素系複合含水酸化物(TMHOs:Ternary Mixed Hydrous Oxides)”は非晶質の金属水酸化物を主要成分相としており,水酸基(OH基)を多数含有する。このOH基が有害陰イオンとイオン交換すると考えられ,OH基の増加は吸着容量の増加に寄与する。しかし,TMHOsの結晶性が増すとOH基は層状複水酸化物のように複数の金属元素に配位するため,イオン交換に寄与しなくなる可能性がある。本研究では,TMHOsが非晶質から結晶質へ移行するときにOH基の役割が変化することを利用して,OH基含有量と陰イオン吸着量の関係から結晶性の制御による吸着量向上の手法を明らかにする。 NMRではAl-OHのOH基を測定できるはずであったが,実際には反応性・非反応性のOH基を計り分けることはできなかった。そこで,2023年度は構成金属元素を当初のSi:Al:Mg=1:1:8としたSAM118を対象にした。合成時のスラリーをエージングにする際に高温条件あるいは水熱処理を行い,構造中の水酸化マグネシウムを結晶化することによる構造への影響と吸着能力への影響を評価した。エージングを40℃あるいは180℃水熱処理したSAM118についてTG-DTAを比較すると,重量減少に伴う吸熱のピークが40℃-SAM118は100℃と350℃付近に,180℃-SAM118では100℃と380℃付近に認められた。40℃-SAM118に含有する非晶質の水酸化マグネシウムが180℃で処理することで結晶質となり,OH基の蒸発が高温側にシフトしたものと推察する。すなわち,結晶性の向上はOH基を安定化させることから,吸着能力を低下させる要因の一つであることが示された。
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