研究課題/領域番号 |
21K12314
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分64030:環境材料およびリサイクル技術関連
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研究機関 | 滋賀県立大学 |
研究代表者 |
谷本 智史 滋賀県立大学, 工学部, 准教授 (50303350)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | キトサン / バイオマス / 薬物担体 / pH応答性 / 有機無機ハイブリッド / コロイド / 微粒子 / ビーズ / 炭酸カルシウム / バイオミネラリゼーション / マイクロカプセル |
研究開始時の研究の概要 |
海洋バイオマスであるキトサンの微粒子に、バイオミネラリゼーションに倣った手法で炭酸カルシウムなどの無機殻を付与した有機無機複合コアシェル型微粒子を作製し、新規な薬物担体・マイクロカプセルとしての可能性を調査する。無機シェルの結晶構造を制御することで、あらかじめ内部に包含させたモデル薬物の放出特性を評価し、キトサンのマイクロカプセル材料領域への利用展開を検討していく。まずは本研究で提案する複合微粒子の示すpH応答特性評価から研究を広げる予定である。
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研究実績の概要 |
エビ・カニの外骨格から得られる天然由来多糖であるキチンやキトサンは、セルロースに次ぐ産生量であり、未来のバイオマス資源として期待されているが、材料としての応用研究はあまり進んでいない。そこで我々は、これらに新しい材料としての可能性を創出するため、「キトサンの微粒子材料化」、「無機物質とのハイブリッド化」、「薬物単体としての新規設計メソッドの探索」を目的として研究を進めている。 今年度においては、マイクロメートルスケールのキトサン微粒子の調製法、無機物質との複合化手法、そしてミリメートルスケールのキトサンビーズの崩壊特性制御の試みにおいて、基礎的な知見の収集が大きく進展した。マイクロ微粒子の系においては、無機コロイドを用いた新規なコアシェル構造を生み出すことに成功した。ミリスケールビーズの系においてはビーズ調製時に別種非イオン性多糖であるデンプンをブレンドすることを試み、pHの異なる環境における崩壊特性を評価した。また、キトサンビーズ中に、蛍光色素で標識したタンパク質(アルブミン)を封入し、ビーズからの放出挙動を蛍光分光光度計で追跡した。デンプンブレンドによって成功した崩壊特性制御によって、タンパク質の放出挙動(速度、最大放出量)を制御することに成功した。 今年度に得られた結果、成果は本研究課題で期待できる成果の大きな部分を占めるものであり、次年度の発展的な研究遂行において極めて重要な知見であると言えよう。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和4年度以降に実施を予定していたキトサンコア粒子の粒径制御に関して、ミリサイズのキトサンビーズの調製条件を明らかにしつつある。イオン架橋でキトサン溶液を固化・形状固定を行なっているのであるが、用いる多価アニオンの種類とデンプンブレンドにより、条件を振って知見を収集している。 タンパク質を封入して作製したビーズからの放出実験も進んでおり、次年度への接続が期待できる。 以上のように、予定していた計画に準じて進めており、概ね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
ミリメートルサイズのキトサンビーズの系において、キトサンビーズが強酸性環境下で溶解せずに形状を保持することがわかってきている。そのため、2022年度は形状を維持する仕組みに関する基礎的知見を収集することに注力していた。2023年度は得られた結果をもとにメカニズムの解明と、応用検討を行なっていきたい。具体的には内部にモデル薬剤を封入し、耐酸性を持った薬物担体としての活用を調査する。
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