研究課題/領域番号 |
21K12620
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分90030:認知科学関連
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研究機関 | 株式会社国際電気通信基礎技術研究所 |
研究代表者 |
小川 剛史 株式会社国際電気通信基礎技術研究所, 脳情報通信総合研究所, 主任研究員 (10614323)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 創造性 / 洞察的問題解決 / ひらめき / 行動分析 / オートチェイニング / 脳機能結合 / データ駆動 / 動的脳状態 / 脳状態 / 機械学習 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、言語的・空間的「ひらめき」の心理学的モデルと神経メカニズムを統合したひらめき脳状態のモデルを解明することである。イノベーション創出や知的生産性向上に最も重要な人間特有の認知機能は、アハ体験のような「ひらめき」も含む創造性であり、特異的に活動する脳領域として、右前側頭部や左背外側前頭前野が挙げられる。しかし、「ひらめき」と共に主観的に体感する、脳のダイナミックな状態変化については、未だ解明されていない問題である。そこで、複数のモダリティーのひらめきを再現する実験系の構築と、AI技術を用いたダイナミックな脳状態推定から、ひらめきの神経メカニズムの解明を試みる。
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研究実績の概要 |
今年度は、研究課題の「ひらめき課題の脳活動・行動の計測」を脳波装置にて行う計画であった。しかし、再現性のある「ひらめき」の実験条件を再度見直すこととした。ひらめき課題のような高次な認知機能を必要とする課題においては、単純な認知課題と異なり、研究対象者個人の履歴や経験を追うことが不可能であることから、コントロール条件を取ることが難しい。そのため、実験参加時の個人差が結果に大きなばらつきをもたらしてしまう。そこで、複数の予備実験を実施した。 まず、参加者の経験をなるだけ等しくするために、事前の「ひらめき課題」の練習を十分に行うことで、難しい問題まで解けてしまう可能性がないかを検証した。次に、課題の難易度や制限時間のインストラクションによって、回答行動が変化するのかどうかについて、検証した。さらに、同じ学習・経験を行ったのちに、実験者が制御可能な条件を付け足すことにより、行動の統制(再現性)がとれるかどうかを検証した。その結果、実験室内に設置する道具や環境を少しずつ調整しながら再現性が取れそうな実験環境について最適化することができた。 また、研究課題の「ダイナミック脳状態モデルの構築」においては、隠れマルコフモデルおよびマイクロステート解析について、検証用の脳活動データなどを用いて検討した。具体的には、脳領域の分割法を複数検討した上で、尤もらしいパラメータの最適化を行った。このような解析法を今後計測する脳活動データに適用することにより、動的な脳状態を可視化しることができると期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度は、これらの実験環境の最適化に注力したため、脳活動計測を実施することが出来なかった。その理由として、脳活動計測時に用いる予定である「ひらめき課題」について、個人の経験や履歴による個人差のばらつきが大きくなる可能性があった。ばらつきが大きい場合、推定した脳状態の解釈にもばらつきが出てきてしまうため、一貫性に欠くという問題点が生じる。そこで、「ひらめき課題」の練習方法や実験環境などを再度見直すことになった。実験を構成する環境パラメータや問題数、実験時間など、行動実験に関わる制御パラメータを精査するために、複数の予備実験を行った。少しずつ環境変数を変えながら実験の再現性を確認することにより、安定した「ひらめき」状態を実験的に再現できるようになってきた。
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今後の研究の推進方策 |
今年度作成した実験プロトコールを基に、行動実験の本実験を実施する。さらに、「ひらめき」状態の再現性が高い実験における脳活動計測を実施する。解析方法については、これまで検討してきた隠れマルコフモデルを適用し、脳状態の動的変化について定量的に評価する。
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