研究課題/領域番号 |
21K12644
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分90110:生体医工学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
近江 雅人 大阪大学, 大学院医学系研究科, 教授 (60273645)
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研究分担者 |
石川 正和 広島大学, 医系科学研究科(医), 寄附講座准教授 (60372158)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | OCT / KTN光スキャナー / 硬性内視鏡型OCT / 整形外科応用 / 硬性内視鏡OCT / KTN光プローブ / 硬性内視鏡 |
研究開始時の研究の概要 |
OCTは生体組織の断層像を約10ミクロンの分解能で高精細に観察する技術である。本研究では、電気光学結晶であるKTN光スキャナーを用いた光プローブを装着した新たな硬性内視鏡型OCTシステムを開発し、整形外科学分野へ適用する。特に変形性関節症は関節軟骨の変性、摩耗により、疼痛、関節機能の著しい低下を引き起こす慢性疾患である。この関節軟骨は硝子軟骨からなる非常に薄い組織であり、現在利用できる画像診断技術では解像度が低くその性状を正確に把握できない。本研究では初期変形性関節症の診断を可能とする診断技術としてOCT光診断の開発を目指す。軟骨炎に対するOCT画像の取得と解析は世界初の試みである。
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研究実績の概要 |
1.KTN光スキャナーOCT硬性内視鏡プローブの開発:本研究では、KTN光スキャナーによるOCT用硬性内視鏡プローブを開発した。OCTプローブはKTN2次元光スキャナーで構成される。KTN光スキャナーは1台で1軸の光スキャンを実現するため、OCTプローブでは2台のKTN光スキャナーを直列に90°回転させた配置で実装し、x軸とy軸の2軸をスキャンする構成とした。KTNスキャナーの先端部には、幹部まで光を届けるニードル状のGRINレンズを装着した。実際の動作では、プレバイアス電圧±300Vを印可してその後、600Vの交流電圧を印可してビームを走査した。この時のビームの偏向角は約130mradが得られ、これを2次元ラスタースキャンしてビームを走査させた。ビーム走査範囲として2.1×2.1mmを実現した。x軸方向に300Hz、y軸方向に1Hzのノコギリ波電圧を駆動し、これらを同期させることにより3D-OCT画像を取得した。 2.可搬型OCTシステムと実用装置への展開:KTNを用いた2次元光スキャナープローブをOCT干渉光学系に接続し、患部へレーザー光を導光し出射するプローブとして実装した。まず、人皮膚組織として指先指紋部のOCTを取得し、3次元イメージングを構築した。硬性内視鏡型OCTシステムをシステムラックに収納した可搬型OCTシステムの実用化を連携企業と計画中である。 3.変形性関節症のOCT画像解析と整形外科分野への応用:動物実験モデルを用いて骨・軟骨病変のOCTイメージの取得を検討した。マウス変形性膝関節症モデルを用いてOCTイメージを取得し、正常部と異常部位の差異の定量的解析を試みた。OCT画像の解析ソフトを開発し、これにより関心領域(ROI)を設けてOCT画像におけるBitmap形式からCVS形式に変換し、OCT値として定量的に評価した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1.KTN光スキャナーOCT硬性内視鏡プローブの開発と3D-OCTの構築:KTN光スキャナーによるOCT用硬性内視鏡プローブを開発した。KTN2次元光スキャナーでは、x軸とy軸でスキャンの原点が異なるため、リレーレンズ系を構築し、出口側で2軸のスキャン原点を一致させた。KTNスキャナーの先端部には、ニードル状のGRINレンズを装着した。GRINレンズの集光系をテレセントリック系とし、ビーム走査範囲でイメージの歪みがない光学系を実現した。ビーム走査範囲として2.1×2.1mmを実現し、当初の目標を達成した。さらにx軸方向に300Hz、y軸方向に1Hzのノコギリ波電圧を駆動し、これらを同期させることにより3D-OCT画像を取得した。 2.可搬型OCTシステムと実用装置への展開:KTNを用いた2次元光スキャナーをサンプルプローブとしてOCT干渉光学系に接続し、患部へレーザー光を導光するプローブとして実装した。硬性内視鏡型OCTシステムをシステムラックに収納し、可搬型OCTシステムの実用化を連携企業と検討中である。 3.変形性関節症のOCT画像解析と整形外科分野への応用:小動物実験モデルを用いて骨・軟骨病変の断層像取得を行うことができた。マウス変形性膝関節症モデルを用いてOCTイメージを取得した。OCTイメージから正常部と異常部位の差異の定量的解析を行った。OCT画像の解析ソフトを開発し、関心領域(ROI)を設けてOCT画像におけるBitmap形式からCVS形式に変換し、定量的に評価することができた。初期変形性関節症の変性の一種である軟骨組織の最表層の変性をOCTで確認することができた。
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今後の研究の推進方策 |
1.KTN光スキャナーOCT硬性内視鏡プローブの開発と3D-OCTの構築:KTN光スキャナーによるOCT用硬性内視鏡プローブを開発している。KTN2次元光スキャナーでは、x軸とy軸でスキャンの原点が異なるため、リレーレンズ系を構築し、出口側で2軸のスキャン原点を一致させる。KTNスキャナーの先端部には、ニードル状のGRINレンズを装着し、GRINレンズの集光系をテレセントリック系とする。OCTイメージング範囲の評価のため、ビーム焦点深度とイメージング深さの定量評価を行う。3D-OCTの構築に関してはソフトにより各々のOCT画像原点の補正を行い、画像調整を行った上で3D画像を構築する。 2.可搬型OCTシステムと実用装置への展開:KTNを用いた2次元光スキャナーをサンプルプローブとしてOCT干渉光学系に接続し、患部へレーザー光を導光するプローブとして実装する。硬性内視鏡型OCTシステムをシステムラックに収納し、可搬型OCTシステムの実用化を連携企業と検討する。 3.変形性関節症のOCT画像解析と整形外科分野への応用:小動物実験モデルを用いて骨・軟骨病変の断層像取得を行う。マウス変形性膝関節症モデルを用いてOCTイメージを取得し、OCTイメージから正常部と異常部位の差異の定量的解析を行っている。OCT画像の解析ソフトを開発し、関心領域(ROI)を設けてOCT画像におけるBitmap形式からCVS形式に変換し、定量的に評価している。今後は組織性状に着目して、光偏光特性をOCTで可視化・解析する予定である。
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