研究課題/領域番号 |
21K12684
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分90120:生体材料学関連
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
高橋 治子 広島大学, 統合生命科学研究科(理), 助教 (70775767)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 抗がん性高分子 / in vitroがんモデル / 抗がん性 / がん幹細胞 / 薬剤耐性がん / がんモデル |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、固形がんの深部まで到達し、既存の抗がん薬では効果が低い幹細胞性・薬剤耐性を獲得したがん細胞に対して高い奏巧性を示す、新しい抗がん性高分子の開発を目的とする。固形がんの深部で眠る幹細胞性・薬剤耐性がん細胞は、長期間潜伏後再発や転移を引き起こすため、これらに対し有効な抗がん剤の開発が喫緊の課題となっている。本研究ではがんの細胞膜を選択的に破壊する膜活性型合成高分子を設計し、がん組織を3次元培養系で再現した「in vitro固形がんモデル」を用いて有効性を評価する。生物界からアイデアを得た分子設計により、固形がん深部の幹細胞性・薬剤抵抗性がんにも有効な新しい抗がん剤の開発に取り組む。
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研究実績の概要 |
本研究は、固形がんの深部に存在し、がんの悪性化(転移や再発など)の大きな原因である、幹細胞性・薬剤耐性のがん細胞に対し、高い奏巧性を示す新規抗がん性高分子の開発を目的としている。生体内の宿主防御ペプチド(Host Defense Peptide; HDP)の物理化学的性質を精密に模倣することで、がんの細胞膜を選択的に破壊可能な膜活性型合成高分子を設計・合成し、特異的な抗がん活性発現する最適な分子構造の同定、および幹細胞性・薬剤耐性がん細胞を含んだ「in vitro固形がんモデル」を用いた有効性の評価を行う。 2年目である本年度は、1年目に合成した2年目は、改良型膜活性合成高分子について、より詳細な機能評価を行い、特に固形がんに対する抗がん活性について検討を行った。様々な官能基を付与した側鎖を有する両親媒性ポリマーを用いて、ヒトがん細胞株から作製したがんスフェロイド等に対する抗がん活性について詳細に検討し、本ポリマーが3次元的な構造を有するがん細胞集合体に対しても効果を示すことを確認した。さらに、1年目に開発したがん細胞とがん間質細胞を共培養可能なin vitro固形がんモデルを用いた、抗がん性ポリマーの機能評価法の検討を行った。がん細胞と周辺細胞をそれぞれ異なる蛍光色素でラベル化し、様々な薬剤やポリマーを添加後、生細胞数や形態の変化をイメージングで定量化することで、添加薬剤等のがん細胞・周辺細胞それぞれへの活性を評価可能であることを確認した。 その他、生体分子を模倣した分子設計による、がん等へ効果的なバイオマテリアルの創出について総説論文を執筆し、WIREs Nanomedicine & Nanobiotechnology誌等へ発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は抗がん性高分子の機能評価と、in vitro固形がんモデルを用いた定量評価法の検討を行った。計画に沿った評価の確立ができ、また関連論文の発表も行えたため、進捗状況としては順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
3年目は、1, 2年目で検討してきた改良型膜活性合成高分子について、固形がんモデルを用いた機能評価を行う予定である。がん細胞と正常細胞が共存する条件において、周辺の正常細胞に対する毒性が低く、がん細胞を効率的に攻撃できるか、がん細胞選択性について詳細に検討し、最適な分子構造について知見を得る。 また、抗がん性高分子の幹細胞性・薬剤耐性がん細胞に対する効果を評価するため、幹細胞マーカーでのセレクションや薬剤耐性を獲得したがん細胞を用いた固形がんモデルを作製して、機能評価を行う。これらにより、幹細胞性・薬剤耐性のがん細胞に対し、高い奏巧性を示す抗がん性高分子の設計指針を確立する予定である。
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