研究課題
基盤研究(C)
本研究では、核酸医薬やペプチドなどの中分子医薬の標的部位へのピンポイント送達を実現するために、核酸の自己組織化能を利用することで構築した核酸ナノデバイスに、標的化のためのリガンドを結合した自己組織化型ハイブリッド核酸ナノデバイスを開発する。基本ユニット構造には多分岐型DNAナノ構造体を採用することで、ユニット当たり複数のリガンドおよび中分子医薬の搭載を可能にする。中分子医薬には、アンチセンスオリゴやCpGオリゴなどに加えてがん抗原ペプチドを選択する。培養細胞および疾患モデルマウスでの検討から、標的部位への中分子医薬のピンポイント送達ならびに治療効果を評価する。
本研究では、核酸医薬やペプチドなどの中分子医薬の標的部位へのピンポイント送達を実現するために、核酸の自己組織化を利用することで構築した核酸ナノデバイスに、標的化のためのリガンドを結合した自己組織化型ハイブリッド核酸ナノデバイスを開発する。今年度は、自然免疫を活性化するCpGオリゴを中分子医薬として選択し、ナノ構造体内におけるCpGモチーフの位置が自然免疫応答の活性化に及ぼす影響について検討した。我々は以前、複数のオリゴデオキシヌクレオチド(ODN)からなる多足型DNAナノ構造体(polypodna)が、CpGオリゴの抗原提示細胞への送達に有用であることを報告した。一本鎖CpGオリゴの免疫賦活活性はCpGモチーフの塩基配列と位置に大きく依存することが報告されている。しかしながら、CpGモチーフの位置がCpGモチーフ含有polypodnaの免疫賦活活性にどのような影響を及ぼすかは明らかではない。そこで、1つの強力なCpGモチーフを選択し、このモチーフをさまざまな位置に配置した4種類のCpGオリゴを設計した。また、このCpGオリゴを含む4つのシリーズのpolypodnaを設計し、CpGオリゴのレセプターであるToll様レセプター-9陽性のマウスマクロファージ様RAW264.7細胞を用いて免疫刺激活性を調べた。その結果、一本鎖領域にCpGモチーフを持つpolypodnaは、二本鎖領域にモチーフを持つものと同程度に細胞に取り込まれたにも関わらず、より多くの腫瘍壊死因子-α放出を誘導した。重要なことは、一本鎖CpGオリゴの免疫刺激活性の順序がpolypodnaとすることで変化したことである。以上の結果は、CpGオリゴの配列に加えて、polypodna中のCpGモチーフの位置も、免疫刺激を目的としたCpGモチーフ含有polypodnaの設計時に考慮すべきであることを示している。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (22件) (うち国際学会 4件、 招待講演 11件) 備考 (1件)
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