研究課題/領域番号 |
21K12816
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分90150:医療福祉工学関連
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研究機関 | 和歌山工業高等専門学校 |
研究代表者 |
津田 尚明 和歌山工業高等専門学校, 知能機械工学科, 教授 (40409793)
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研究分担者 |
多羅尾 進 東京工業高等専門学校, 機械工学科, 教授 (80300515)
藤原 康宣 一関工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (40290689)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 松葉杖歩行訓練器 / 受動的訓練 / AR錯視誘発 / リハビリテーション / 医療・福祉 / 松葉杖歩行 / ロボット工学 / 医工学 |
研究開始時の研究の概要 |
これまで松葉杖の誤使用による二次的な事故を防ぐための訓練装置を開発してきたが,実際の生活空間で想定される外乱への対処法は訓練できなかった. 本申請ではAR(拡張現実)技術を使ってヘッドマウントディスプレイに実際の景色に重ねて外乱を人工的に提示することでヒヤリ・ハット感覚を錯視誘発し,それに抗するバランス維持動作を促す新しい訓練を開発する. 言わば外乱対処型受動的訓練(外乱を受けても身体の感覚と筋骨格系の制御で対処できるようにする訓練)である. 最終的には他の身体動作訓練への適用性も検証する.
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研究実績の概要 |
本研究の目的は,松葉杖を使用し始めた患者,いわば松葉杖歩行の初心者のための訓練装置の開発である.松葉杖は,下肢を負傷してその治療中に,下肢への免荷を目的として使用されることが多いが,使用経験や事前知識が無い状態で試行錯誤的に使用すると誤った使い方になり,二次的な事故を誘発する恐れがある.我々は,そのような事故が発生する可能性を少しでも抑えるために訓練することが効果的と考え,そのための装置の開発を目指している. 松葉杖歩行における二次的な事故の例としては,平地を歩行する場合は歩行動作が規則的であるべきところ,不慣れなために不規則な歩行動作になったり,松葉杖の扱いを誤って体重のかけ方が不適切となり身体バランスを崩したり,周囲の物や他の歩行者など歩行進路上に現れる障害物に対処する際に歩行の安定性を失ってしまうことが考えられる.前の2つに対処する訓練装置の基礎概念と要素技術は過去に開発済みであり,本研究では最後の「障害物」に対処するための訓練機能の開発に注力する.歩行を妨げる恐れのある障害物の存在は,歩行者にとっては言わば外乱である.歩行動作に対する外乱を想定し,それに抗する訓練を目指すところに,本研究の独自性がある. 具体的には,患者がヘッドマウントディスプレイを装着し,そこに仮想的な障害物を提示する装置を開発する.この方法では,実際の障害物に物理的に接触するわけではないので,訓練の初期段階として安全を担保しながら訓練できる利点がある. これまで,周囲の景色をHMDに内蔵されたカメラで撮影し,その画像に仮想障害物を重ねて提示することで,被験者がこれを使って歩行訓練できることを確認した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
前年度までは,訓練装置の使用者(患者を想定)が実際の景色を肉眼で見ながら,その視界に仮想的な障害物を重畳して仮想現実的に視覚提示できるシースルー型のヘッドマウントディスプレイが訓練に適していると考えていた.実際に,それを用いて周囲の環境や仮想的な障害物を提示する機能を開発した.しかし,評価実験において実際に被験者がそれを用いて歩行訓練したところ,現実の景色と人工的な景色を重畳するところに違和感を感じる被験者が多くて実用性に欠けた. そこで,周囲の景色をカメラで撮影し,それと仮想障害物の両方を視覚提示する新たなヘッドマウントディスプレイを購入し,それのための視覚提示機能を開発した.この段階で予想以上に時間がかかり,全体的に進捗が遅れた. 現在は,新しく開発しなおした環境で実験を行えるようになったが,前年度の遅れのために全体として遅れている.
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今後の研究の推進方策 |
仮想障害物の視覚提示機能が完成し,実際に被験者に使用してもらってその感想の調査を進めてきた.具体的には,進路にボールを模した球を転がしてみたり,進路を他人が横断したりすれ違ったりする機能を開発して,この機能を使った模擬訓練を行いながら歩行動作を計測する実験を進めている. 今後は,具体的にどのような障害物をどのように提示すれば,訓練として有効となるのかを,実験しながら検討する. これらの手順で,訓練をより効果的・実用的にするためにシステムの改良を続ける.
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