研究課題/領域番号 |
21K12833
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分01010:哲学および倫理学関連
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研究機関 | 人間環境大学 |
研究代表者 |
城田 純平 人間環境大学, 心理学部, 講師 (00816598)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | ハイデガー / 生の哲学 / 哲学的人間学 / ディルタイ / シェーラー / 哲学史 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、20世紀を代表する哲学者の一人であるマルティン・ハイデガーによる思索の展開を、1919年から1923年にかけてのいわゆる「初期フライブルク時代」から、1930年代半ば以降の「後期思想」に至るまでの時期を広く射程に含めつつ、「生(Leben)」という鍵概念のもとに包括的に解釈することを目的とするものである。 ハイデガーにおけるディルタイやシェーラーからの思想的影響を再検討すると共に、テクストに内在的なスタンスからハイデガー哲学の基本概念を徹底的に分析することにより、主著『存在と時間』の思索をも、「生の哲学」の引力圏にあるものとして捉え直すことを企図している。
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研究成果の概要 |
本研究では、マルティン・ハイデガーによる思索の展開を「生」を鍵概念として包括的に捉えることを試みた。その結果、本研究では、次の点が明らかになった。まず、『存在と時間』の時期のハイデガーが生概念を使用しなくなったのは、伝統的な人間学に親和的なzoeの意味での生を回避しようという彼の意図によるものであり、むしろディルタイから継承したbiosの意味での生概念をハイデガーは『存在と時間』における現存在概念へと積極的に継承している。さらに、いわゆる後期ハイデガーにおいては、zoeの再解釈が行われ、これがphsis概念に近しいものとされた上で、肯定的に捉えられている。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究においてはハイデガーの哲学を「生」を鍵概念として包括的に捉えることを試みてきた。その結果として、ハイデガー哲学が、伝統的な人間学とどのような距離をとってきたのかが明らかになり、またとりわけ後期ハイデガーの思索をzoeの哲学として捉えなおすことによって、zoe概念に対するハイデガーの評価の両面性という点から、ハイデガー哲学からいわゆる生命倫理や環境倫理の問題系へとアプローチするための展望が開かれた。biosを強調する立場とzoeを強調する立場の両側面が、特に後期ハイデガーにおいては矛盾なく統合されている点は、生命や環境の問題を考える上で特にユニークな点である。
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