研究課題/領域番号 |
21K12913
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分02010:日本文学関連
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
生田 慶穂 山形大学, 人文社会科学部, 准教授 (00846230)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 連歌 / 最上義光 / 里村紹巴 |
研究開始時の研究の概要 |
最上義光(よしあき)は、出羽の戦国大名で、のちに山形藩初代藩主となった。連歌を愛好し、当代の一流連歌師であった里村紹巴・里村昌叱らと親交を結び、たびたび同座したことが知られる。 本研究では、義光が一座した連歌の参加者や作品内容を分析することにより、義光が頻繁に連歌会に参加した目的を明らかにする。連歌師・公家・武家との交流関係、義光の古典教養を詳らかにし、純粋に文芸として楽しんだのか、宗教的・政治的意図がはたらいたのか、あるいは全ての要素が関わっていたのか、総合的に検討する。戦国末期から近世初期の連歌の実態を明らかにするとともに、山形における中世連歌から近世俳諧への展開を跡づける意義がある。
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研究実績の概要 |
2023年度は徳島市里見家所蔵資料の調査研究を行った。里見家は最上義光の家臣里見(東根)景佐ゆかりの文芸資料を伝えている。「里見家文書」には、連歌の点料紅花20斤や玄仍の死にふれる景佐宛昌琢書状、式目に関する不審書に対して昌琢の回答が添えられた高橋雅楽助宛景佐書状が伝わり、景佐と昌琢との関わりは早くから知られていた。これに加えて同家に紹巴奥書の典籍が複数所蔵されていることが、ごく最近、野口孝雄氏「東根八代城主里見薩摩守景佐の連歌号―号は「光景」(あきかげ)最上義光連歌衆の一人―」(『山形民俗』36号、2022年11月)で明らかになった。 当初の研究計画にはないことであったが、上記は非常に重要な資料群と思われたため、2023年10月・2024年3月に現地調査を行い、野口氏が紹介した資料の他に新出の連歌切2点を見出すことができた。義光と紹巴の関わりについて新たな手がかかりを得、さらに紹巴の伝記研究にも事績を付け加えることのできる貴重な発見であった。 天正9年(1581)紹巴奥書の『連歌新式追加并新式今案等』は、義光周辺の人物と紹巴の接触として非常に時期の早いもので注目される。慶長2年(1597)紹巴奥書の『伊勢物語抄』『詠歌大概』は、秀次事件に連座した紹巴の三井寺蟄居中の活動を示すとともに、紹巴の古典学とその伝播を考える上で参考になる。また『源語秘訣』は義光が山形に招請した時宗僧乗阿が義光に伝授した本を写しており、義光の古典学習のあり方をうかがい知ることができる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
徳島市里見家所蔵の文芸資料の発見により、義光・紹巴の周辺の動きがより具体的に分かってきた。
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今後の研究の推進方策 |
徳島市里見家所蔵資料の調査研究成果は2024年度中に論文化する。 最上義光歴史館の館報、山形大学の公開講座などでアウトリーチ活動を進める。
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