研究課題/領域番号 |
21K12960
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分02030:英文学および英語圏文学関連
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研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
柳楽 有里 兵庫県立大学, 環境人間学部, 准教授 (40835253)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | アフリカ系アメリカ文学 / 人種 / ジェンダー / 階級 / ハーレム・ルネッサンス / アフリカ系アメリカ人 / 労働者階級 / 上流階級 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、アフリカ系アメリカ人による小説を対象として、黒人コミュニティ内部の階級的・ジェンダー的差別に注目する。とりあげる作品はいずれも黒人の比較的裕福な家族を描いている。黒人文学に関する従来の研究動向は、人種的観点を重視するあまり、黒人同士での貧富の差や性差による対立が看過されがちであった。本研究は、20世紀のアメリカ黒人文学における階級・ジェンダーの表象の在り方が、どのように変遷したのかを明らかにする。
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研究成果の概要 |
本研究は、アフリカ系アメリカ人による小説を対象として、黒人コミュニティ内部の階級的・ジェンダー的差別に注目し、20世紀のアメリカ黒人文学における階級・ジェンダーの表象の在り方が、どのように変遷したのかを明らかにすることを目的とした。本研究において取り上げた、ハーレム・ルネッサンス期の作品における登場人物たちの共通点として、白人社会の中で築き上げた階級や自分の理想に固執し、同胞たちと強固な連携を取れず苦悩する点が挙げられる。公民権運動後の作品においては、階級・ジェンダーにおける弱者たちがそれぞれ苦悩しながらも、そういった状況において生まれる孤独な者たちの心つながりにより重点が置かれていた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
黒人作家の描いた階級を論じた先駆的研究はあるが部分的なものにとどまっている。米国社会における機会の不均等さを最も痛切に感じてきたのは明らかに黒人たちでありながら、階級に対する彼らの視点が注目されにくい。特に文学研究の文脈では、黒人のコミュニティ自体を分断させかねないため、階級およびジェンダーに関する視点はタブー視されやすい。とはいえ、先行する黒人作家を意識し彼らを模倣しつつも彼らとは違う黒人像を提示してきたアメリカ黒人文学が、アメリカ合衆国特有の問題をいかに乗り越えてきたのかという点について、マイノリティ同士での衝突の原因ともなりうる緊張関係に光をあてた点で本研究の意義は大きい。
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