研究課題/領域番号 |
21K13566
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分09030:子ども学および保育学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
大野 美喜子 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 情報・人間工学領域, 研究員 (80715730)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 傷害予防教育 / エンパワメント / AI / 子ども |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,子どもの健康問題のひとつである「傷害」を取り上げ,保護者の予防行動を支援するオンライン診療システム(応えるAI)を開発し評価する.具体的には,東京消防庁および複数の医療機関が保有する傷害データを活用し,AI技術をもちいて事故発生状況をモデル化し,オンライン診療のための問診票を作成する.次に,ブラジルの教育学者であるフレイレが提唱する課題提起教育手法を用いて,傷害予防のためのオンライン診療を実施し,対策実施に関連する保護者の心理的・物理的バリアや促進因子,バリアの打開策などを保護者との「対話」を通して明らかにする.
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研究実績の概要 |
本研究は,子どもの傷害を予防するための保護者の予防行動を支援するため,次の4機能を持ったオンライン診療システムを開発することを目的とする.具体的な4機能は,1.問診票の回答に応じて,予測される事故リスクと予防策を提示する機能,2.傷害予防講座の実装機能,3.予防行動実践にあたって保護者が直面する心理的・物理的バリアの共有機能,4.バリアを打破するためのアイディア共有機能の4つである. 今年度は,主に,機能3と4の実装に向けて進めた.具体的には,家庭内の典型的な事故とその予防対策11種類に対し,保護者の対策をしない・できなり理由の調査を行い,1. 事故の種類は違っても,共通した「できない理由(重症なケガにはならないだろうと思ってしまう・自分で設置するのが難しい,等)」が原因で対策していない場合があること、2. 同じ理由でも,事故の種類によって,そのバリアの感じ方度合いに違いがあること,3. 保護者ができない理由の中でも,製品のデザインを変えることによって解決できる場合が多くあること,などを明らかにした.また,機能4に関しては,バリアを打破するためのアイディア共有機能の実装にとどまらず,いくつかの具体的なサービスを提案し,そのサービスによって,対策をしない・できない理由に対する心理的バリアを下げる効果があるかどうかを調査した.その結果,例えば,窓やベランダからの転落予防対策に関しては,自宅に補助錠や窓ストッパーが送られてくるサービス,テレビの転倒に関しては,テレビを購入後に固定してくれるサービス,などが,対策をしないバリアを打破するための効果が高いことなどを明らかにした.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
機能3と4の実装に必要な調査も実施し,特に,機能3に必要不可欠なできない理由の調査に関しては,事故の種類ごとのできない理由をミクロに理解し,その結果をジャーナルで発表した.また,できない理由の調査結果をもとに,製品デザインの提案や新しいサービスの提案による保護者支援の方法に対する可能性も示唆された.事故の種類×できない理由×それを乗り越えるサービスの3つの軸で進めていくことが,人の行動変容の促進,社会システムとしてのシステム提案,社会実装の観点からも重要であり,従来の保護者教育とは違う新しいアプローチになることが,今年度の研究成果で示すことができた点でも,順調に進展していると考える.
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今後の研究の推進方策 |
来年度は,本研究で提案した4つの機能の実装と改善を進めると同時に,対策をしない・できない理由に対する具体的な提案に対する理解を深めるための新たな調査を実施する.また,乳幼児を持つ保護者を対象に,システムの有効性を検証する.
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