研究課題/領域番号 |
21K13613
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分09060:特別支援教育関連
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研究機関 | 東京学芸大学 |
研究代表者 |
村尾 愛美 東京学芸大学, 教育学研究科, 研究員 (80792415)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 知的障害 / 格助詞 / 項 / 動詞 / 指導 / 指導法 |
研究開始時の研究の概要 |
従来の知見から,知的障害児が格助詞「が」「を」「に」の使用に困難さを示すことが示唆されている。しかし,その困難さに関わる要因は不明である。格助詞「が」「を」「に」は動詞と密接な関わりをもつ。したがって,動詞に視点を当てた検討を行うことによって,格助詞「が」「を」「に」の困難さの要因を掘り下げて検討できると考える。そこで本研究では,知的障害児を対象として,動詞の性質を踏まえた言語課題を行うことによって,知的障害児の格助詞「が」「を」「に」の誤用の特徴とその背景にある困難さは何かを明らかにすることを目的とする。さらに,その結果を踏まえた動詞と格助詞の指導法の提案を目指す。
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研究成果の概要 |
本研究では,知的障害児の格助詞「が」「を」「に」の誤用の特徴とその要因を明らかにすることを目的とした。その結果,対象とした知的障害児において,動詞項構造は保たれており,項の産出力は定型発達児と同程度であることが明らかになった。一方,格助詞の使用においては,知的障害児は意味役割の影響を強く受ける可能性が伺えた。さらに,定型発達児を対象とした予備的検討から,意味(意味役割)と文法の一般的な対応からの逸脱が格助詞の使用に影響する可能性が示唆された。また,知的障害児を対象として格助詞「が」「を」を含む文の指導を行う場合は,文の可逆性や語順など刺激文の種類に留意する必要があることが示された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究の結果から,知的障害児にみられる格助詞「が」「を」「に」の誤用は,項の産出そのものに起因しない可能性が示唆された。このことは,定型発達児や他の障害種でみられる格助詞の誤用にも当てはまる可能性があり,格助詞の誤用のメカニズムの普遍性に迫るという点で本研究の成果は学術的意義を有する。また,本研究の結果から,指導に用いる刺激文の留意点が示された。言語発達遅滞がみられる児童生徒の文法指導において,格助詞の指導法の確立は教育上・臨床上,喫緊の課題となっている。したがって,指導上の留意点が得られた点は,本研究の社会的,臨床的意義である。
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