研究課題/領域番号 |
21K13626
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分09060:特別支援教育関連
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
山本 健太 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 助教 (00895542)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 自閉スペクトラム症 / エピソード記憶 / 未来思考 / 自伝的記憶 / 成人期 / 記憶 / 現実場面 |
研究開始時の研究の概要 |
近年,自閉症者の過去の記憶と未来思考が注目されている。「小学生のときに京都へ遠足に行った」などの過去の記憶にはコミュニケーションの促進や感情のコントロールなどの機能がある。また「次の旅行には着替えを2着もっていこう」などの未来思考には行動のプランニングや意図の実行などの機能があり,我々の日常生活と密接に関連している。記憶/未来思考がもつ機能は自閉症者が不得手とする機能でもある。そこで本研究では,実際の日常生活場面を想定した実験をおこなうことで現実場面での記憶/未来思考の特徴を明らかにし,新たな視点から日々の困りごとを理解し,それに対する支援手法の第一歩を生み出すことを目的とする。
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研究成果の概要 |
本研究は成人自閉症者の現実場面における過去の記憶と未来思考の特徴を明らかにすることを目的とした。過去の記憶に関する実験では,自閉症者はオープンエアで憶えた項目の記憶が低下していた。一方でモニターで憶えた項目の記憶は低下していなかった。この結果は,自閉症者が空間に関する情報処理の苦手さを反映している。未来思考については,1日あたりの総思考数は低下していなかった。一方,行動計画に関する思考が少なかった。この結果は,自閉症者は過去の出来事を再構築して未来をシミュレーションすることの苦手さを反映している。以上のことから,自閉症者に対してはシンプルに情報を伝えることが重要であると思われる。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究で明らかになった現実場面を想定した自閉症者の記憶/未来思考の特徴は,これまで取り組まれているスキルトレーニングや環境調整など,既存のアプローチに記憶/未来思考の視点が加わることで新たな支援手法の構築の第一歩となる。また,自閉症者が合理的配慮を求める際にも,記憶/未来思考といった観点が適切な支援へつながる可能性が高いため,特別支援教育だけでなく職業リハビリテーション学へも波及することが期待される。
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