研究課題/領域番号 |
21K13818
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分12020:数理解析学関連
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研究機関 | 東京海洋大学 |
研究代表者 |
森 直文 東京海洋大学, 学術研究院, 准教授 (10803413)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 非線形偏微分方程式 / 対称双曲系 / 対称双曲・放物系 / 消散構造 / 記憶型消散効果 / 強正定値記憶核 / 減衰評価 / 強正定値性 / 対称双曲型保存則系 / 減衰特性 / 漸近安定性 |
研究開始時の研究の概要 |
気体力学、流体力学、弾性体力学等に現れる偏微分方程式がもつ消散構造は複雑・多様で、解の安定性に関する証明の多くが個別・技巧的で応用性に欠く。そのため、消散構造が生じる自然のメカニズムの解明と、一般の場合に統一的な証明を与えることが重要である。そこで、本研究では典型例より広い範囲で消散構造の特徴を明らかにするともに、解の安定性を示す個別・技巧的な方法を一般化し、安定性理論の拡張を行う。
本研究を通じて、偏微分方程式のもつ消散構造の特徴が具体的に明らかになり、解の安定性を一般的な対称双曲系や対称双曲・放物系の場合でも統一的に示すことが期待できる。
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研究実績の概要 |
気体力学、流体力学、弾性体力学等に現れる偏微分方程式がもつ消散構造は複雑・多様で、解の安定性に関する証明の多くが個別・技巧的で応用性に欠く。そのため、消散構造が生じる自然のメカニズムの解明と、一般の場合に統一的な証明を与えることが重要である。本研究では、複雑で多様な消散構造の特徴付けと、 消散構造をもとに偏微分方程式の安定性を示す方法の一般化を目指して研究を行い、次のような成果を得た。
1. Timoshenko 方程式系の剪断応力に時間遅れを考慮した「粘性的 Timoshenko 方程式系」を考察し、エネルギー法を用いて減衰評価を導出した。また、固有値の漸近展開を求め、その減衰評価の最良性を示した。Timoshenko 方程式系は新型の消散構造をもつ典型例として知られており、物理的に消散構造が生じるメカニズムの解明にも貢献することが期待できる。 2. 記憶型の消散項をもつ対称双曲系を考察し、記憶核に「強正定値性」という「指数的に減衰すること」よりも弱い仮定を課して、消散構造と線形減衰評価を示した。また、その減衰評価の最良性を示すために、記憶核が指数関数の場合の固有値の漸近展開を求めた。これにより、記憶型の消散項をもつ方程式の減衰特性は、通常の消散項や拡散項をもつ方程式とは異なり、「可微分性損失型」と呼ばれるもので、新しい消散構造をもつ例であることが発見された。 3(最終年度). 記憶型の拡散項をもつ対称双曲・放物系を考察し、記憶核に「強正定値性」を仮定して、線形拡散波の漸近挙動の解析を行ない、記憶型の線形拡散波が通常の線形拡散波に漸近することを示した。本研究で考察している数理モデルは、具体例として濃縮溶液中の凝縮ポリマーの構造変化を表現することが知られているため、化学・工業分野などへの応用にも期待ができる。
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