研究課題/領域番号 |
21K13945
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分15020:素粒子、原子核、宇宙線および宇宙物理に関連する実験
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
八野 哲 広島大学, 先進理工系科学研究科(理), 助教 (20850720)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2021年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | カイラル対称性 / レプトン対 / QGP / LHC / ALICE / クォーク・グルーオン・プラズマ / ALICE実験 / 高エネルギー原子核実験 / 高エネルギー原子核衝突 / パートン多体系 |
研究開始時の研究の概要 |
高エネルギー原子核衝突実験で生成するクォーク物質の性質解明は、強い相互作用の更なる理解や極初期宇宙発展シナリオの検証に欠かせない。 LHC加速器において原子核衝突だけでなく陽子+陽子衝突の生成粒子数の多い稀事象においてもクォーク物質の生成を示唆する複数の現象が発見された。しかし、これら諸現象はクォーク物質の生成以外でも説明できるという指摘もあり、陽子+陽子衝突におけるクォーク物質の生成の真偽は不明なままである。本研究はクォーク物質生成の強力な証拠となる「カイラル対称性の回復現象」を探索することで、陽子+陽子衝突におけるクォーク物質生成の真偽を明らかにすることを目的とする。
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研究成果の概要 |
2021年度に、MFT検出器のALICE検出器群へのインストール作業が完了し、機械学習を活用して粒子の飛跡を再構築するためのアルゴリズムやデータベースソフトウェアの開発を進めた。当初は2022年に10カ月間データを収集する予定であったが、Covid-19のパンデミックやウクライナの危機の影響で、データ収集期間は4カ月に短縮された。この遅れの影響で、予定していた質量変化の調査は完了できなかった。しかし、J/ψ中間子の存在を確認することはでき、MFT検出器が期待通りに動いていることを確かめた。来年度には、粒子の多い状況での質量変化の検証を行う予定である。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
陽子+陽子衝突においてクォーク物質の生成が確認された場合、これまで主流であった原子核衝突を用いた 研究からのパラダイムシフトを提示する可能性がある。現在、LHC加速器の高輝度化(HL-LHC)の計画が進んでおり、近い将来、更に大きな統計量が利 用できるため、現時点で陽子+陽子衝突におけるクォーク物質生成の真偽を明らかにすることは大きな意味を持つ。 本研究期間には、MFT検出器を開発、インストールを完了し、2022年のデータを用いて正常に動作していることを確認した。この検出器は陽子-陽子衝突におけるクォーク物質の生成を検証することを可能にするため、今後の研究計画に大きな影響を与える。
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