研究課題/領域番号 |
21K14013
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分17040:固体地球科学関連
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
増野 いづみ 岡山大学, 惑星物質研究所, 特任助教 (50822102)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2021年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
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キーワード | 超高圧実験 / 下部マントル / ダイヤモンドアンビルセル / ケイ酸塩ガラス / 弾性波速度 |
研究開始時の研究の概要 |
地球マントル深部においては結晶(岩石)とメルト(マグマ)が密度逆転を起こし、最下部マントルにてメルトが安定相として存在する可能性が示唆されている。メルト中の鉄は下部マントル相当の圧力下で圧力誘起スピン転移を起こすと言われているが、スピン転移により圧縮率に変化が生じ、それが結晶とメルトの密度逆転の一因ではないかと示唆されている。本研究では、放射光X線非弾性散乱とメスバウアー分光法を用いて高圧下の鉄を含むケイ酸塩ガラスの弾性波速度と鉄のスピン状態の両方を測定し、包括的に鉄及び鉄のスピン状態の圧縮率および密度への影響を調べることで、メルトが密度安定相として最下部マントルに存在しうるのか明らかにする。
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研究成果の概要 |
ダイヤモンドアンビルセル超高圧発生装置を用いた放射光非弾性X線散乱法(IXS)により、72 GPaまでの3価鉄を含むエンスタタイトガラスの弾性波速度測定を行うことができた。本研究では先行研究の実験圧力を大きく超える72 GPaまでIXSスペクトルを取得し、非常に良い精度での音速測定に成功している。特に常圧~低圧にかけては、P波速度(VP)だけではなくS波速度(VS)に由来するピークも精度よく分離することができた。加えて同試料の高圧その場メスバウアースペクトルを160 GPaまでの範囲で測定することができた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
メルトは主に周囲の岩石との密度差に由来する正負の浮力によって移動する。したがってケイ酸塩メルト(マグマ)と結晶(岩石)の高圧下における重力的安定性は、地球のダイナミクスを理解する重要な手掛かりとなる。特に、マントル深部のような超高圧下におけるケイ酸塩メルトの物性を実験的に明らかにすることは、大規模溶融したと考えられている地球の分化過程と内部構造を理解するためには必要不可欠である。ケイ酸塩ガラスは高温下におけるケイ酸塩メルトのアナログ物質であり、ケイ酸塩ガラスの物性を知ることは、地球深部でのメルトの挙動の解明につながる。
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