研究課題/領域番号 |
21K14105
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分20010:機械力学およびメカトロニクス関連
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研究機関 | 公立諏訪東京理科大学 |
研究代表者 |
藤原 大佑 公立諏訪東京理科大学, 工学部, 助教 (90868184)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | Push-pull locomotion / 軟弱地盤 / テラメカニクス / 群ロボット |
研究開始時の研究の概要 |
【背景】JAXAなどでは,月・火星のような探査において小型で運搬が容易でシンプルな車輪型群ロボットを用いた広域で効率的な探査に着目している.しかし,車輪型ロボット単体では惑星表面の緩い軟弱地盤ですべりと沈下により簡単に走行悪化に陥る(登坂限界は17-20度程度).群ロボットはロボット同士の協力によりこの走行悪化や立往生の克服が必要である.一方,軟弱地盤における車輪を搭載した群ロボット同士の効果的な協力方法の実現はされておらず,その走行性能は把握されていない.【目的】本研究では,軟弱地盤上において積極的な車輪沈下・支持を利用しロボット群同士が尺取虫のように協力し移動する方法を提案する.
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研究実績の概要 |
本研究は,軟弱地盤上において積極的な車輪沈下・支持を利用したロボット群の移動を実現するものである.2022年度は,①モジュール単体の走行性能評価,②垂直登坂走行における台数(6台まで)と移動量の関係の把握,③結合部に作用する力の把握を実施した. ①二輪のモジュール型ロボットの単体における走行性能の評価を実施した.単体では走行性能は低いままであった.しかしながら,スタビライザに搭載された伸縮機構を利用して移動をすると,走行性能が向上することが把握できた. ②これまで製作した2輪型のモジュール型ロボット群を用いて主に垂直登坂実験を実施し,台数と走行性能の変化を把握した.今年度は6台まで製作し,走行試験を斜度25度以下で実施している.移動量はモーションキャプチャにより定量的に測定し.台数が増えると滑りが抑制されることが把握できた.一方で,4台以上では滑り抑制効果が飽和したため,25度以上での追加試験が必要であるとも把握した.また,伸縮移動で重要な支持車輪の支持力とけん引負荷の関係が台数によりどう変化するか計算を実施し,その関係性について把握した.特に,通常走行の駆動力は台数が増えても上昇しにくいのに対して,伸縮結合移動では台数が増えると支持力が増加することを把握した.移動アルゴリズム(シーケンス)については,支持力と台数の関係から駆動部<支持部の比率で動作させるよう決定した. ③結合性の評価のため,伸縮時の各支持側,駆動側に働く力の測定を実施し,結合部に働く力の把握をした.特に伸縮時には,伸縮の速度と車輪の回転数の関係が重要であり,最大の負荷に耐えられる結合力が重要であると把握した. ③に関連して,伸縮時の車輪の回転数と伸縮速度の比が重要であるというのは新たな知見である.伸縮時に車輪をスリップさせながら移動させると上昇した駆動力により,支持輪を支えることができ滑りが抑制されると把握した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請内容に対して,垂直方向の登坂実験に関しては製作した群ロボットを用いてスケジュールよりも進んだ実績となった.また,新たに有用な知見も得ることができた.一方新たに得た知見により,結合力や結合解除性については多少見直しが必要であることも把握した.また,垂直登坂実験を優先したため,転回移動における評価は不足している.しかし,不足した分の取り戻しは直近のスケジュールにて可能である.垂直登坂実験については横断実験にとりかかりつつあり,スケジュールより進んでいることから(2)とした.
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今後の研究の推進方策 |
製作したロボットを用いて,より高斜度(30度など)で登坂実験を進め,横断実験についても平行して進める.転回移動については走行実験により台数と移動性能の評価を行っていく.また,新たに得た知見により見直しが必要となった結合性については知見をもとにロボットの改善を実施する. また,支持力とけん引負荷の関係について理論的に検討を進める.特に,支持力については土圧の観点から検討を行い,実際の支持力試験も併せて行う予定である.
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