研究課題/領域番号 |
21K14134
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分20020:ロボティクスおよび知能機械システム関連
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研究機関 | 和歌山工業高等専門学校 |
研究代表者 |
徐 嘉楽 和歌山工業高等専門学校, 知能機械工学科, 助教 (30898200)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 触覚ディスプレイ / バイアスばね / 形状記憶合金 / PDMS / 触感 / MEMS / 厚膜形成 |
研究開始時の研究の概要 |
触覚ディスプレイは点字や触感などの触覚情報を人工的に提示するツールであり、モバイル機器などへの応用が期待されている。これまでの触覚ディスプレイでは、十分な発生力や振幅を得るためにシステムが大きくなってしまう課題がある。 個人差なく刺激を提示するためには大きな発生力かつ振幅が必要である。そのため、形状記憶合金(SMA) 素子を2層接合して振幅を倍増する素子の作製手法を確立し、刺激提示に必要な振幅および発生力を明らかにするとともに、人間の知覚可能な振動刺激パターンを調べる。
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研究実績の概要 |
本研究では点字や触感などの触覚情報を人間の指先に個人差なく提示することを目指し、人工的な振動刺激を提示する高出力の触覚ディスプレイの開発に取り組んでいる。本年度はバイアスばねをSMA素子と組み合わせた場合に出力される振幅の倍増を目指し、最適なバイアスばねの剛性を得るため、膜厚を変えたPDMSバイアスばねを作製し、剛性評価を行なった。変位を300 μm程度まで与えても破断等が発生しなかったが、膜厚が80~200 μmでは負荷および除荷との間で大きなヒステリシスが生じることがわかった。膜厚10~30 μmの場合ではヒステリシスが小さい良好なバイアスばねの特性を得ることができた。SMAアクチュエータと組み合わせた場合に見込まれる発生力は約5 mN程度であり、変位は40~50 μm程度であることがわかり、人間の皮膚に十分な刺激を提示できる見通しを得た。 キャップ層、フレーム層およびバイアスばね層の形成プロセスの簡易化に取り組んだ。フォトリソグラフィおよびウエットエッチングにより、Cuキャップ層およびフレーム層を精度良く形成することができ、キャップ層およびフレーム層を接合し、段付き構造を形成することができた。 PDMSバイアスばね上に感光性レジストのピン層を形成し、下部のCuフレーム層と良好に接合することができたが、PDMSバイアスばね上部のピン層、キャップ層およびフレーム層とPDMSバイアスばねとのアライメントや接合手法を確立していくことが今後の課題であることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
キャップ層、フレーム層およびバイアスばねの作製プロセスの簡易化を目指し、フォトリソグラフィおよびエッチングによるCuキャップおよびフレーム層の形成やPDMSバイアスばね膜の形成を可能にしたが、作製したPDMSバイアスばねをCuフレーム層と接合し、下地の犠牲層を溶解する際にPDMS膜およびCuフレーム層間で剥離が生じることがわかり、接合プロセスの改良に時間がかかってしまった。また、作製した段付き構造のCuキャップ層から下地のピン層との現物合わせによるアライメントの精度向上が課題であることがわかり、次年度の課題である。
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今後の研究の推進方策 |
SMAアクチュエータおよびPDMSバイアスばねを接合したプロトタイプ素子を作製し、パルス通電加熱によるSMAアクチュエータの動作特性の評価を行う。また、PDMSバイアスばね上部のピン層、キャップ層およびフレーム層の形成プロセスの確立を行い、キャップ層、フレーム層、PDMSバイアアスばねおよびSMAアクチュエータを組み合わせた素子を作製し、官能評価実験を行い、触感や記号などの触覚情報の提示の可能性の評価に取り組んでいく。
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