研究課題/領域番号 |
21K14233
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分22020:構造工学および地震工学関連
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研究機関 | 九州工業大学 |
研究代表者 |
高井 俊和 九州工業大学, 大学院工学研究院, 准教授 (00759433)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 高力ボルト継手 / 終局挙動 / 最大荷重 / エネルギー吸収 / 当て板補修 / 終局最大荷重 |
研究開始時の研究の概要 |
本課題では,鋼構造の高力ボルトを用いた継手部や当て板補修部を対象に,地震等の大きな荷重が作用したときに耐える強度が高く粘り強い構造の開発を目的に研究を行なう.降伏耐力から終局最大耐力までの荷重上昇分を活用して強度が高く,さらに変形性能も確保することでエネルギー吸収量を高くするための条件を確認する.検討では,FEM解析と力学実験を併用し,継手部や当て板補修部の各構成部位のエネルギー吸収の分担割合を確認し,有利となる構造諸元を明らかにする.最終的には強度が高く粘り強い継手部や当て板補修部とするための設計条件を取りまとめる.
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研究実績の概要 |
令和4年度は,(3)エネルギー吸収の点で有利となる継手の寸法等の条件の検討と,(4)力学実験による挙動の確認を行った.(3)の検討では,前年度の(2)の検討で引張破断の3つのモード別のエネルギー吸収特性を確認し,純断面引張モードはエネルギー吸収量が多く,縁端せん断とボルトせん断のモードはエネルギー吸収量が少ない基本的な傾向を明らかにしており,本年度は継手の寸法を変化させて複数のモードが連成する諸元を対象にエネルギー吸収量の変化の傾向を確認した.その結果,モードが複合する諸元およびその前後の諸元でエネルギー吸収量が最も高くなることが確認された.また,当て板補修部を対象に,前年度の(1)で検討した解析条件をもとにFEM解析を実施したところ,荷重-伸び関係やエネルギー吸収量を含めて,引張挙動が良好に再現されることを確認した.当て板補修部では,高力ボルトが密に配置されることが多く,ボルト孔の間隔が狭く,多くのケースで純断面引張モードとなることを確認した.腐食減肉量によって当て板のすべりが発生して伸びが生じると,そのぶんエネルギー吸収量が少なくなる場合があるものの,当て板厚が厚ければ最大荷重およびその時点の伸びにほとんど影響がないことを確認した.(4)の検討では,(3)で検討した諸元をもとに力学実験の試験体を設計した.載荷試験機の不具合のため,試験体を延長して部材を継ぎ足す必要が生じた.曲げが作用する場合の継手の終局挙動を実験により確認し,試験体のチャック固定の影響によって作用する曲げが低減されることを確認した.純引張載荷の実験は,試験体の設計に時間を要したため,製作と実験は次年度に行う.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
(3)の検討でエネルギー吸収の点で有利となる継手の寸法等の条件を検討し,さらに当て板構造を対象に検討を行った.当て板構造での検討で,解析条件を確認する再現解析で最終的には良好な結果が得らたが検討に時間を要した.また,力学実験の試験体の準備にあたって,載荷試験機の不具合により試験体形状を工夫する必要があり,その検討のため設計に時間を要した.そのため全体的に進行がやや遅れぎみとなり,(4)の検討に影響が及んだ結果,一部の試験体の製作が遅れた.以上のことから,計画に挙げた検討は進行しているものの当初の計画に比べると遅れている面があり,やや遅れていると判断した.
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度は,(4)力学実験による挙動の確認の残りの実験と,(5)エネルギー吸収を考慮した設計,評価の方法を検討する.(4)の検討では,残りの試験体の製作を進め,実験により挙動を確認して,解析により予測したモードやエネルギー吸収挙動を確認する.(5)の検討では,これまでの検討を踏まえ,継手等の諸元とエネルギー吸収量の関係や,エネルギー吸収量が多くなる条件を明らかにして整理する.
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