研究課題/領域番号 |
21K14438
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分26050:材料加工および組織制御関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
山本 啓 大阪大学, 接合科学研究所, 助教 (00842577)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 摩擦攪拌プロセス / 残留応力 / 表面合金化 / 残留オーステナイト / 超硬合金 / 摩耗 / マルテンサイト / ツール摩耗 / マルテンサイト変態 / 固溶強化 / メカニカルアロイング |
研究開始時の研究の概要 |
摩擦攪拌プロセス(FSP)は,高速回転させたツールを金属板に押し付けることで生じる摩擦熱と塑性変形を利用した表面改質手法である.鉄鋼材料のような高強度金属のFSPではツールの摩耗をしばしば伴うが,このときに施工部内へ分散されるツール構成元素は,その後の組織形成と材料特性に悪影響を及ぼすとされてきた.本研究では,そのツール摩耗を逆活用した鋼中への元素供給・強制固溶によって,施工面のマルテンサイト変態制御とそれに起因する圧縮残留応力付与を実現し,両機構の解明を通じて鉄鋼材料の高疲労強度化に資する新技術の確立を目指す.
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研究成果の概要 |
WCツールの摩耗を伴った摩擦攪拌プロセス(FSP)を低炭素鋼板に施工し,その攪拌部表面における残留応力生成機構を調査した.ツール構成元素が固溶した攪拌部表層では,マルテンサイト(α')主体の組織が観察された.攪拌部表面に生成される残留応力はツール構成元素の固溶量とそれに起因するα'変態開始温度(Ms点)に依存していた.Ms点の低下とともに室温付近でα'変態による膨張が生じるため,残留応力は引張から圧縮へと遷移し,約150℃のMs点において最大の圧縮残留応力を示した.Ms点が150℃以下になると,室温においてα'変態が未完了となることで膨張量が不足し,再び引張残留応力を生じることが示唆された.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
FSPによる疲労強度改善の事例として,き裂発生起点となる欠陥や粗大析出物の除去を目的とした鋳造合金や積層造形部材への適用は多数みられるが,ツール摩耗による元素供給を利用した改善は本研究が初である.当該プロセスでは基板表面への元素添加と焼入れが同時に施されるため,炭素量や合金元素の少ない加工性を重視した軟鋼に対しても,部分的に疲労特性を強化でき,構造設計上の材料選択における自由度の大幅な向上に貢献できると考えている.
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