研究課題/領域番号 |
21K14443
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分26050:材料加工および組織制御関連
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研究機関 | 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 |
研究代表者 |
青山 高士 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 原子力科学研究所 原子力基礎工学研究センター, 研究職 (60752623)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | ステンレス鋼 / 局部腐食 / 金属カチオン / 腐食防食 |
研究開始時の研究の概要 |
塩化物環境中での耐食性を従来よりも高めた高耐食ステンレス鋼においても、金属イオンが存在する塩化物環境では耐食性が低下する。環境中に存在する金属イオンの吸着、堆積によりステンレス鋼表面に腐食起点が生成することがその原因であると予想されている。本研究では、数原子層単位で金属の表面形態の変化を分析可能な原子間力顕微鏡を用いたその場観察システムを構築する。電気化学測定を行いながら金属イオンの吸着、堆積による腐食起点の生成および腐食発生をリアルタイム観察することで環境中の金属イオンがもたらすステンレス鋼の耐食性低下機構を解明することを目指す。
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研究実績の概要 |
本研究では、環境中の金属イオンがステンレス鋼の表面に孔食起点を生成し、孔食発生を促進する機構を解明することを目的としている。これまでの研究の結果、1 mMのCuCl2を含む0.1 M NaCl中において、鋼中の不純物元素量を極限まで低減させた316EHP鋼の孔食電位は0.1 M NaCl中と比較して大きく低下したのに対し、SUS 316L鋼では大きな違いは見られないことが分かった。以上のことから、Cu2+がステンレス鋼の耐孔食性に及ぼす影響は鋼種によって異なる可能性がある。316EHP鋼は孔食起点となる介在物を含まないのに対し、SUS 316L鋼には孔食の起点となる硫化物系介在物が存在しており、Cu2+によって生じる孔食起点に優先して硫化物系介在物を起点とした孔食が生じたことが原因の一つとして考えられる。そこで、硝酸不働態処理を用いてSUS 316L表面の硫化物系介在物を除去する前処理を行った後に孔食電位測定を行い、より高い電位域においてCu2+が孔食発生に及ぼす影響を調査することを試みた。その結果、不働態処理を行った316EHP、SUS 316L両ステンレス鋼の孔食電位は、Cu2+を含まない0.1 M NaCl中と比較してCu2+を含む0.1 M NaCl中では上昇するという結果が得られた。以上の結果から、鋼表面の状態によって、溶液中のCu2+はステンレス鋼の耐孔食性を上昇させる可能性があることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画通りに溶液中のCu2+がステンレス鋼の耐孔食性に及ぼす影響はステンレス鋼の組成、表面状態によって異なる可能性があることを見いだせたため、おおむね順調に進展している、と判断する。
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今後の研究の推進方策 |
補助事業期間最終年度となる令和5年度においては、溶液中のCu2+がステンレス鋼の耐孔食性を低下させる条件及び上昇させる条件を見出す。腐食試験前後における試料の表面分析を行うことで、表面に付着するCuの化学状態分析や皮膜形成機構の解析を行う。
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