研究課題/領域番号 |
21K14487
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分28020:ナノ構造物理関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
黒川 雄一郎 九州大学, システム情報科学研究院, 助教 (20749535)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
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キーワード | 希土類フェリ磁性体 / スピントルク / マイクロマグネティックシミュレーション / スピンオービットトルク / スピントルク磁化発振 / 磁化補償点 |
研究開始時の研究の概要 |
電子の持つスピン角運動量を利用したスピントルクによる磁化操作は、不揮発性磁気メモリや小型マイクロ波発振器など様々な応用があり、重要な技術である。特に希土類磁性体と遷移金属磁性体との合金である希土類-遷移金属フェリ磁性薄膜を用いたスピントルクによる磁化操作はフェリ磁性の小さな磁化に起因した大きなスピントルクにより低消費電力で行うことができ、有用である。一方で希土類フェリ磁性体は二つの磁化を持ち、複雑な磁化ダイナミクスが予想される。本研究ではこれまで考慮されてこなかった希土類、遷移金属各元素固有のスピントルクからの寄与に特に注目し、実験とシミュレーションによる数値解析からこの寄与を明らかにする。
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研究成果の概要 |
希土類フェリ磁性薄膜は希土類元素と遷移金属元素による二つの種類の磁化を持ち、スピントルクの寄与が構成元素ごとに異なることが予想されたが、 これまで元素ごとの寄与は考慮されてこなかった。初めに、希土類フェリ磁性体TbGdFe合金を用いてスピントルク係数を見積もる研究を行った。その結果、GdFe合金にTbを添加していくと、スピントルクが観測されなくなるという結果を得た。次に、フェリ磁性の二成分の磁化を用いたマイクロマグネティックシミュレーションを行った。補償組成付近で磁化発振を数値解析したところ、二つの磁化成分の複雑な働きにより、従来よりも高い周波数で発振が可能になることが分かった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
GdFe合金にTbを添加していくとスピントルクが観測されなくなるという結果は、Tb添加により選択的にスピントルクを不活性化するという重要な結果である。実際、この研究の中で、組成の異なるTbGdFe合金を使ってスピントルクの方向性を制御する結果を得ている。この成果は磁気メモリなどに応用が可能であり重要である。次に、フェリ磁性体の補償組成付近で従来よりも高い周波数で発振が可能になるシミュレーション結果は、高周波数発振可能な小型発振器へ応用が可能であり、発振器の設計指針を与える重要な結果である。
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