研究課題/領域番号 |
21K14568
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分31010:原子力工学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 |
研究代表者 |
北垣 徹 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 福島研究開発部門 福島研究開発拠点 廃炉環境国際共同研究センター, 副主任研究員 (30770036)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 放射線 / 微生物 / 変異 / ゲノム / 燃料デブリ / ウラン / 溶解 / チェルノブイリ / 福島第一原子力発電所 / 液中その場観察 / 細菌 / 脱窒菌 / 原子間力顕微鏡 / ジルコン / 鉄酸化細菌 / 二酸化ウラン / マンガン酸化細菌 |
研究開始時の研究の概要 |
核燃料物質の処分等の観点から、水中の二酸化ウランの溶解挙動を評価する実験が数多く行われているが、微細な表面構造の変化を評価していないため、実験毎にバラついた結果しか得られていない。また、微生物による影響を考慮していないこと等による、実環境下での溶解挙動との乖離が課題となっている。 本研究では、各種溶液中での二酸化ウランの微細な表面構造の変化や、微生物との相互作用をナノスケールから液中その場観察すると同時に、局所的な化学状態の変化を同定することにより、微生物を含む液中の二酸化ウランのナノスケールの表面構造や化学状態の変化を詳細に把握する。
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研究実績の概要 |
ウランと微生物の相互作用を考えると、ウランの酸化還元に関与する微生物と、ウランからの放射線を利用する微生物が考えられる。ウランの酸化還元については、鉄の酸化還元と同様の機構が考えられるが、放射線の利用については未知の部分が多い。そこで、今年度は放射線物質を含む海水系の水サンプルから微生物を培養し、異なる色彩のコロニーを形成する3種類の細菌を取得した。先進ゲノム支援に応募し、採択されたため、本制度を用いてそれぞれの細菌種の全ゲノム解析を実施した。その結果、赤色コロニーを形成するのはDietzia属、白色のコロニーを形成する細菌はMarinobacter属、黄色のコロニーを形成する細菌種はMicrococcus属が近縁であることが明らかになった。Dietzia属については、ロングリードのDNA抽出が困難だったため、ドラフトゲノムの決定となったが、他の2種についてはコンプリートゲノムを得た。また、放射線照射時の微生物のDNA修復機構を検討するため、DNAから必要なタンパク質を合成する際に働くRNAを調べ、放射線照射時に特異的に働くDNA領域やタンパク質を明らかにすることを目指した。このため、コバルト60線源を用いたγ線の照射施設において、0-5 Gy/h程度の放射線線量率で、それぞれの微生物をバイアル瓶中で液体培養し、10日間ガンマ線を照射した。照射後、RNAを抽出し、RNA解析を行った。現在も解析を継続中であり、放射線照射の有無によるRNA組成の違いを調査する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画の変更があるが、より普遍的な知識を得られると考えられる学術的に価値の高い実験を再検討し、実施している。先進ゲノム支援プログラムの採択により、想定以上の膨大なデータを取得できた。ただし、データ解析には時間がかかるため、現在も進行中の部分があるが、全体としては順調である。
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今後の研究の推進方策 |
現在実施中であるRNAの解析を進める。これにより放射線照射時に特異的に働くDNA領域やタンパク質を明らかにすることを目指す。また、ウランの粉体を含んだ液体培地を用いて菌叢を培養し、液中のウラン濃度と相関性を示す増殖傾向を示す細菌を特定することにより、ウランの溶解に寄与する微生物種、及び遺伝子を特定することを目指す。
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