研究課題/領域番号 |
21K14598
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分32020:機能物性化学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
木崎 和郎 東京大学, 生産技術研究所, 助教 (00880535)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | キラリティ / 円偏光発光 / セラミックス / 結晶構造 / 無機蛍光体単結晶 / 希土類 |
研究開始時の研究の概要 |
近年、円偏光発光(CPL)材料が3Dディスプレイ、光暗合通信、植物の生長促進などの観点から盛んに研究されている。しかし、キラルなセラミックスのCPL特性は、有機分子や金属錯体に比べて十分解明されていない。したがって本研究では、キラルなセラミックス蛍光体を合成し、結晶構造のキラリティ強度を定量化し、その結晶構造とCPL特性を評価することにより、結晶のどのような物理量がCPL特性と相関するのかを解明する。これによって、キラルセラミックスのCPLの理論を構築し、結晶構造や偏光分光測定からCPL特性を予測するための基盤を構築する。
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研究実績の概要 |
本研究は、キラルな結晶構造を持ったセラミックス蛍光体の円偏光発光(CPL)と結晶構造との相関を明らかにし、キラル無機化合物の既存の偏光応答理論を発光や励起状態の領域に拡張することを目的としている。この研究の達成によって、安価・安定なセラミックス材料を用いたCPL材料の開発を推進することが可能となる。本研究では、キラルセラミックス蛍光体単結晶を育成し、その結晶構造解析と結晶キラリティ強度の定量化、CPL測定とによって、CPL特性に結晶構造がどのような影響を与えているのかを明らかにする。 前年度には、LaBSiO5(LBSO)単結晶育成条件の検討とユウロピウム添加LBSO単結晶のCPL測定を行った。その結果、それぞれの単結晶から、正負に反転した概ね鏡像となるCPLスペクトルが得られた。 該当年度では、前年度から引き続き続けてきたフラックス法によるLBSO単結晶の育成条件検討を終え、最大1mm角程度の単結晶を得ることができた。また、該当年度後半には高輝度放射光施設Spring-8のBL02B1ビームラインにて得た13個のLBSO単結晶のX線回折データを用いて構造解析を行った結果、9個の単結晶について良好な結果を得た。その結果、LBSO単結晶には、キラルの関係にあるP31とP32の空間群をもつものが存在していることを確認できた。これは3回らせん軸の向きが反転した鏡像にあたる結晶構造であることを示している。またCPLスペクトルとの比較から、結晶構造(らせん軸の回転方向)とCPLシグナルの符号との相関関係を明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題は、①キラルな結晶構造を持ったセラミックス蛍光体単結晶を育成し、②結晶構造と円偏光発光特性を評価し、③結晶構造のキラリティの強さを定量化することで、④結晶構造のキラリティが円偏光発光に与える影響を解明することを目的としている。 当該年度には、CPL測定に供した単結晶がキラルな関係にある二種類の空間群をもつグループに分けられること、らせん軸の無機とCPLシグナルの符号が相関していることを明らかにしており、④の構造物性相関の一端を明らかにすることができた。
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今後の研究の推進方策 |
CPLと円偏光二色性のシグナルには相関があることが報告されているため、LBSOのCD測定を試みる。また、CPL測定系を構築して、他の希土類イオンや遷移金属イオンを添加した蛍光体についてもCPL測定を行う。 また、LBSOのケイ素をゲルマニウムに変えたLaBGeO5や固溶体の蛍光体単結晶を育成し、同様の実験検討を行う。
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