研究課題/領域番号 |
21K14758
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分38010:植物栄養学および土壌学関連
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研究機関 | 福島大学 |
研究代表者 |
菅波 眞央 福島大学, 食農学類附属発酵醸造研究所, 特任助教 (30897492)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 光合成 / イネ / Rubisco / Rubisco activase / フラビンタンパク質 / P700酸化 / 頑健性 |
研究開始時の研究の概要 |
光合成機能改良は、食糧増産に向けた重要な研究課題である。これまでに申請者は、光合成の律速要因であるRubiscoとその活性化酵素Rubisco activase (RCA)を同時に増強することで、イネの光合成速度を20%増強させることに成功した。しかしながら、このイネでは光化学系I(PSI)が不活性化しやすい弱点があることが明らかとなった。申請者の共同研究グループはヒメツリガネゴケ由来のフラビンタンパク質(FLV)をイネに導入し、PSIの頑健性を向上させている。本研究では、Rubisco・RCA同時増強イネにFLVを導入することで、光合成能力と頑健性の両立を試みる。
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研究実績の概要 |
本年度は、本研究の材料の一つであるRBCS-RCA二重増強イネについて、3段階の窒素栄養条件で栽培し、光合成速度と葉身窒素量の関係性について詳細な解析を行った。RBCS-RCA二重増強イネの光合成速度は、高窒素条件では野生型イネと比べてほとんど変化がないが、低窒素条件では顕著に向上しており、低窒素条件になるほど光合成能力向上の効果が高いことが明らかとなった。 次に、RBCS-RCA-FLV三重増強イネの光合成機能解析に取り組んだ。昨年度、導入遺伝子が全てホモ化した個体を選抜しており、本年度は選抜系統の光合成機能解析を行った。RBCS-RCA二重増強イネは、酸化型P700の割合が野生型イネと比べて低下しており、強光照射により光化学系Iの光阻害が生じるのに対し、RBCS-RCA-FLV三重増強イネでは酸化型P700の割合は野生型イネと同レベルまで回復し、強光照射を行っても光化学系Iの光阻害は認められなかった。また、RBCS-RCA-FLV三重増強イネの光合成速度は、野生型イネよりも有意に高かった。さらに、RBCS増強イネ、RBCS-RCA二重増強イネと比べても、高い傾向が見られた。次年度の解析では、解析サンプル数を増やすとともに、今年度のRBCS-RCA二重増強イネの結果を踏まえ、栽培する栄養条件を変えて、低窒素条件において、より顕著な光合成速度向上効果が見られるか検証する予定である。 その他関連する研究として、イネの生産性向上に関わるQTL探索手法を確立し、研究成果を国際誌Plant Physiologyにて発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度作出したRBCS-RCA-FLV三重増強イネについて、光合成効率が向上していること、および光合成頑健性が回復していることを示すデータが取得できており、本研究課題における最重要な解析を行うことができた。今年度中に、再現性試験や栽培条件を変えた解析は終えられなかったが、次年度解析を行い、原著論文としてまとめる予定である。 よって、概ね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
次年度の解析では、今年度の解析の再現性を確認し、解析サンプル数を増やす。また、今年度のRBCS-RCA二重増強イネの結果を踏まえ、栽培する栄養条件を変えて、低窒素条件において、より顕著な光合成速度向上効果が見られるか検証する予定である。
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