研究課題/領域番号 |
21K14896
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分40030:水圏生産科学関連
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
高木 悠花 千葉大学, 大学院理学研究院, 助教 (10785281)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 浮遊性有孔虫 / 環境適応 / 温暖化 / 光共生 / 光合成 / 飼育実験 / 地球温暖化 |
研究開始時の研究の概要 |
海洋表層に広く生息し,石灰化する動物プランクトンとして知られる浮遊性有孔虫には,藻類との共生関係(光共生)をもつ種がいる.浮遊性有孔虫の地質学的試料の解析からは,過去の急激な温暖化イベントに対し,光共生する種が選択的に生き延び,その後繁栄したことが明らかになっており,光共生の温暖化適応戦略としての役割が想定されている.しかし,現生種を用いて検証された例はない.本研究では,現生浮遊性有孔虫の水温制御下での飼育実験,光合成測定,遺伝子解析を組み合わせ,どのようなメカニズムで光共生する浮遊性有孔虫が温暖化耐性を獲得しいるかを明らかにする.
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研究実績の概要 |
海洋表層に広く生息し,石灰化する動物プランクトンとして知られる浮遊性有孔虫には,藻類との共生関係(光共生)をもつ種がいる.浮遊性有孔虫の地質学的 試料の解析からは,過去の急激な温暖化イベントに対し,光共生する種が選択的に生き延び,その後繁栄した可能性が指摘されており,光共生の温暖化適応戦略 としての役割が想定されている.しかし,現生種を用いて検証された例はない.本研究では,現生浮遊性有孔虫の水温制御下での飼育実験および光合成測定を組み合わせ,どのようなに光共生する浮遊性有孔虫が高温環境に応答するかを明らかにすること目的とした. 令和4年度は,前年度に引き続き相模湾で浮遊性有孔虫のサンプリングを行い,光共生種であるTrilobatus sacculiferを単離し実験に用いた.20℃,26℃,32℃の温度区を設け,飼育実験を行い,飼育期間中は毎日光合成生理パラメータの測定を行った.最高温の32℃は,サンゴなどでは白化が報告されることもある温度であるが,T. sacculiferでは他の温度区と比較して,成長や光合成生理状態に有意な変化を与えなかった.これにより,強い高温耐性を持っていることが示唆された.さらなる高温側の温度耐性を明らかにするため,追加のサンプリングと実験を行い,32℃,34℃,36℃で検証を行ったところ,やはり32℃では個体への悪影響は認められず,前回の実験結果を再現できた.一方で34℃では,数日で光合成活性の低下および個体の死亡が多く確認され,36℃では,実験開始半日でほぼ全ての個体が死亡する結果となり,T. sacculiferにおいては,32℃から34℃の間に上限があることが確認された.2回目の実験の光合成生理パラメータに関するデータ解析は今後進めていく予定であり,高温側での生理応答を詳細に把握し,既報のサンゴの共生系との比較などが可能になる見込みである.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2度の飼育実験を実施でき,データも十分に取得できたため.
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今後の研究の推進方策 |
次年度は,前年度の実験データの解析を進める.また,継代培養している共生藻株についても,同様の条件で培養実験および光合成生理の解析を開始しており,共生状態と単離状態での違いを明らかにできる予定である,また,過去に採取した様々な水温区からの個体についての共生藻組成の解析も進行中であり,光共生性の浮遊性有孔虫の高温耐性メカニズムについて,多面的に検証できる予定である.
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