研究課題/領域番号 |
21K14962
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分42010:動物生産科学関連
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
梅原 崇 広島大学, 統合生命科学研究科(生), 助教 (60826858)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2022年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2021年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 生殖 / 卵巣 / 繁殖 / 肥満 / 加齢 / 線維化 / 家畜繁殖 / 繁殖技術 |
研究開始時の研究の概要 |
繁殖能力を司る卵巣は,加齢や肥満などの個体変化に繊細であり,他臓器と比べて早期に機能疾患に陥る.また,卵巣が産生する性ホルモンは,個体の恒常性の維持にも重要な役割を果たすため,卵巣機能疾患が起点となり全身の疾患へと加速度的に拡大する.そこで本研究課題では,卵巣間質組織は環境変化に対するメインセンサーであり,繁殖障害のみならず全身の機能疾患をも引き起こす重要組織であると仮説立て,その立証を分子生物学的・薬理学的解析によって試みる.そして,この基礎知見を基に雌畜の利用効率・期間を高める非侵襲的な治療法開発に挑戦する.
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研究成果の概要 |
本課題では,卵巣機能低下原因として近年注目されている『卵巣線維化』が起こるメカニズムを明らかとするため,加齢マウスと肥満マウスの比較解析を行い,細胞内小器官であるミトコンドリアにおける脂質代謝がそのキーファクターであることを突き止めた.特に,その代謝パターンの中で,脂質代謝が低下していたことから,老化と肥満の共通項が脂質蓄積にあるということが新しい発見となった.このような卵巣の線維化が起こる卵巣間質組織において,脂質代謝やミトコンドリア機能を改善する薬剤を非侵襲的に投与したところ,ミトコンドリア機能改善と共に,卵巣機能の回復が認められ,新しい卵巣機能回復を発見することに成功した.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
卵巣の線維化は実験動物であるマウスのみならず,ヒトでも認められる現象である.本成果で新しく突き止めた“卵巣線維化がミトコンドリア,特に脂質代謝に起因すること”という学術成果は,ほ乳類に共通して認められる卵巣線維化を改善/予防する手法を構築するための礎になりうる.また,この成果を基に,ミトコンドリア機能改善剤を投与し,卵巣線維化を除去し,機能を改善した成果は,マウスのみならず,ヒトや家畜の妊孕性を回復させ得る成果であり,社会的にも意義深い成果だと考える.
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