研究課題/領域番号 |
21K14973
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分42020:獣医学関連
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研究機関 | 大阪公立大学 (2022) 大阪府立大学 (2021) |
研究代表者 |
酒居 幸生 大阪公立大学, 大学院獣医学研究科, 講師 (90844192)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2022年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2021年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | TGF-β / 悪性黒色腫 / イヌ / 増殖 / 血管新生 / 上皮間葉転換 / 浸潤・転移 / シグナル伝達経路 / オートクリン / 機能解析 / 癌悪性化機構 / シグナル伝達 |
研究開始時の研究の概要 |
イヌの悪性黒色腫は詳細な分子病態が未だ明らかにされておらず、効果的な治療法も存在しない。申請者はこれまでに、イヌ悪性黒色腫の癌組織でTransforming Growth Factor-beta(TGF-β)の発現が著しく増加していることを見出したが、現象論的な理解に止まっている。そこで本研究では、イヌ悪性黒色腫におけるTGF-βの作用とその分子メカニズムを解明することで、TGF-βシグナルを標的とする新規治療法の開発に向けた基礎的知見を得る。
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研究成果の概要 |
イヌの悪性黒色腫(MM)は臨床的挙動が極めて悪い腫瘍であるが、詳細な分子病態は未だ明らかにされていない。本研究では、イヌMM細胞の悪性化促進作用(増殖能および血管新生能の亢進)と抑制作用(上皮間葉転換、浸潤能および転移能の抑制)の両方にTGF-βが関与する可能性を示し、イヌMMの進行においてTGF-βが多面的な役割を担う重要な分子であることを明らかにした。また、イヌMM細胞のTGF-βシグナルにAKT経路が含まれており、本経路を介して血管新生能が亢進される可能性も示した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
医学領域では腫瘍とTGF-βとの関連が盛んに研究されており、その中でTGF-βは様々な腫瘍の上皮間葉転換、浸潤能および転移能を促進することが知られている。しかし、本研究では逆にTGF-βがこれらの機能を抑制するという全く新しい知見を得た。この成果はこれまでの概念を覆す発見となる可能性があり、大変興味深いものである。また、本研究によりTGF-βを直接標的とする治療法はむしろ悪性化を促進する危険性が示唆されたため、TGF-βの悪性化促進作用のみに関与する下流シグナルが理想的な治療標的であると考えられた。この成果はイヌMMに対する今後の治療開発において重要な基礎的知見となる。
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