研究課題/領域番号 |
21K14977
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分42020:獣医学関連
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研究機関 | 和歌山県立医科大学 (2022) 慶應義塾大学 (2021) |
研究代表者 |
中村 有孝 和歌山県立医科大学, 薬学部, 助教 (60824456)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 乳児期 / 乳児免疫 / DOHaD / M細胞 / 粘膜免疫 / 哺乳離乳期 |
研究開始時の研究の概要 |
乳幼児期など発達早期における環境因子(腸内細菌、栄養状態など)への曝露は、宿主の将来的な疾患感受性に影響を与える。しかし、発達早期において環境因子が粘膜免疫誘導機構にどのような影響を与えるのか、またその将来的な疾患感受性への影響は不明なことが多い。腸管の粘膜誘導組織の上皮に存在するM細胞は、腸管管腔から抗原を取り込む機能を有し、獲得免疫応答の確立に重要な細胞である。本研究では、哺乳期におけるM細胞分化機構を解明し、離乳期におけるM細胞の増加がパイエル板の免疫誘導機構に与える影響を解析することによって、発達早期における粘膜免疫の全体像および将来の疾患感受性への影響を明らかにする。
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研究成果の概要 |
本研究では、乳児期における粘膜免疫系の発達と将来の疾患感受性の影響について、母乳に含まれる因子に着目して解析を実施した。パイエル板に存在し、腸管管腔の抗原を取り込む上皮細胞であるM細胞は乳幼児期に少ない。しかし、OPGという遺伝子を欠損する母マウスが野生型マウスを哺育した場合、成熟M細胞の密度が高くなることが明らかとなった。またこうしたM細胞の増加は乳幼児のパイエル板における免疫細胞の成熟を早めることを示唆する結果が得られた。さらに、このマウスは大腸炎に対して抵抗性を示した。これらの結果は、母乳中のOPGが乳幼児期の粘膜免疫系の発達に寄与し、将来的な疾患感受性に影響を与えることを示唆している。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
乳幼児期においてM細胞が減少していることは、最近の研究で報告されている。しかし、そのメカニズムは不明であった。本研究ではこうした乳幼児期におけるM細胞の抑制に母乳由来の因子が関与していることを明らかにした。さらに、こうしたM細胞の成熟は、粘膜免疫の発達と将来的な疾患感受性に影響を与えることを示した。近年、出生前後や乳児期の因子が将来的な健康に影響を与えていることが着目されている。本研究で明らかにした母乳由来因子の役割は、乳幼児期及び子供の長期的な健康維持に貢献するととが期待できる。
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