研究課題/領域番号 |
21K14989
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分42020:獣医学関連
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研究機関 | 日本獣医生命科学大学 |
研究代表者 |
小林 正人 日本獣医生命科学大学, 獣医学部, 講師 (60898063)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2022年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2021年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | リラキシン / MDSC / デキサメタゾン / 犬 / 妊娠 / 免疫寛容 / PDL1 / 胎子 / 生殖免疫 |
研究開始時の研究の概要 |
胎子免疫寛容の破綻は着床不全や早期流産を引き起こす。これは犬の人工授精における受胎率低下の一因である。MDSCは抑制性共刺激分子を介してT細胞活性を抑制してがんの免疫寛容を誘導する。がんと同様に免疫から逃避することで胎子は母体で発育することができるため、がんで認められた免疫抑制機構が胎子に対しても働いている可能性が考えられる。そこで本研究では、MDSCの免疫抑制機構に着目し、マウスを用いて胎児免疫寛容誘導メカニズムの解析を行うとともに、認められた誘導メカニズムが人工授精を施した犬の妊娠成立とその維持に関与しているか明らかにする。これらの解析から、犬の胎子免疫寛容誘導メカニズムの解明を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究では、リラキシンの免疫抑制効果を検討するために、リラキシンとステロイドであるデキサメサゾンの免疫抑制作用を比較した。また、流産モデルマウスを用いてリラキシンの治療効果を検討するため、本研究ではまずマウスリラキシンのリコンビナントタンパクを作製することにした。 犬の末梢血液単核細胞を抽出してCFSE染色を行い、Con-AによりT細胞を活性化させる。そこに犬リラキシン、デキサメタゾン、そしてステロイド拮抗薬であるミフェプリストンを投与して三日間培養し、T細胞の増殖率を解析した。その結果、デキサメタゾンおよびリラキシンはT細胞活性を抑制し、ミフェプリストンによりデキサメタゾンの免疫抑制作用は阻害された。一方で、リラキシンの免疫抑制作用は完全には抑制することができなかった。したがって、リラキシンによる免疫抑制作用はデキサメタゾンとは異なる機構が存在することが示された。次に、リラキシンによる流産に対する治療効果を検討するために、マウスリラキシンのリコンビナントタンパクを作製した。CMVプロモーターを有するタンパク発現ベクターにマウスのリラキシン遺伝子をIn-Fusionクローニングシステムを用いて挿入し、さらにそのC末端にHis tagを組み込んだ。その後、FCSフリーで発育できる293F細胞を使用してタンパク合成を行った。作製したマウスリラキシンはウエスタンプロットにより確認した。 本研究より、リラキシンによる免疫抑制作用は免疫抑制剤として広く使用されているステロイドと異なることを明らかにした。また、本研究よりマウスリラキシンタンパクの合成が完了したため次回は流産モデルマウスに対してリラキシンの治療効果を検討する。
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