研究課題/領域番号 |
21K15080
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分44010:細胞生物学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
篠田 夏樹 東京大学, 大学院薬学系研究科(薬学部), 助教 (30838397)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
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キーワード | カスパーゼ / 非細胞死性の機能 / TurboID / APEX2 / 近接依存性標識法 / ショウジョウバエ / 老化 / MASCaT |
研究開始時の研究の概要 |
細胞死実行因子であるカスパーゼは, 細胞死を超えて多くの生理機能を発揮する. しかし, なぜカスパーゼが細胞死を実行することなくその他の生理機能を発揮することができるのか, その分子機構の理解は不十分である. 申請者はこれまでに, ショウジョウバエのカスパーゼであるDcp-1とDriceのうち, Dcp-1のみが非細胞死性に器官成長を促進することを示した. さらに, 近接依存性標識法を用いた解析からDcp-1とDriceはそれぞれに固有の反応場を形成する可能性を示した. 本研究では, Dcp-1の反応場の解析を通して, 細胞を殺すことなく生理機能の発揮を可能とする分子基盤の解明を目指す.
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研究成果の概要 |
これまでの研究から, 細胞死実行因子カスパーゼは反応場を形成することで, 非細胞死性の活性化が可能となることが示唆されていた. 本研究により, カスパーゼに近接し, 非細胞死性の活性化を誘導する分子実体 (細胞接着因子Fasciclin 3) が同定された. さらに, カスパーゼ近接タンパク質群が老化依存的に変容すること, 老化依存的に近接するタンパク質の一部がカスパーゼの活性化を駆動することを示した. 以上より, カスパーゼ反応場が流動的であり, それにより状況に応じた非細胞死性の作用が可能となることが示唆された.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
細胞死実行因子カスパーゼは, 細胞死を超えて多くの生理機能を発揮する. しかし, その分子機構の理解は不十分である. 本研究から, 近接タンパク質で構成される反応場が, 細胞内の一部に限局した非細胞死性の活性化を惹起する可能性を示した. さらに, 反応場が老化依存的に変容し, それにより活性化が惹起される可能性を示した. 本研究で提唱した, 近接タンパク質によって構成される反応場という概念は, 多義的な酵素の細胞内での振る舞いとその作用を理解するに資するものである.
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