研究課題/領域番号 |
21K15122
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分44030:植物分子および生理科学関連
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
嶋川 銀河 関西学院大学, 生命環境学部, 助教 (60853885)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2022年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 光合成 / 細胞電流 / 酸化的ペントースリン酸経路 / シアノバクテリア / レドックス / 電気化学 |
研究開始時の研究の概要 |
生物工学的な光合成反応の制御や改変は、太陽エネルギーを利用した高付加価値の物質生産を実現する上で避けては通れない課題である。これまで遺伝子改変を主として光合成の改変を目指した研究が盛んに行われた中で、光合成生物そのものが有する光合成の制御メカニズムはしばしば軽視されてきた。そこで本研究では、外部電極およびメディエーターを用いた電気化学的手法によって電子伝達系のレドックスに干渉し、RISEによる電子伝達反応の抑制を解除、再誘導することを試みる。その中で申請者は本実験技術の開発およびそれを用いた光合成物質生産の向上、RISEによる活性酸素生成抑制メカニズムの解明に取り組む。
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研究成果の概要 |
課題を通して、シアノバクテリアにおける酸化的ペントースリン酸経路(OPPP)がプラストキノン還元を通して細胞電流の大きさに影響することを明らかにし、その生理活性の定量に取り組み、OPPPによる電子伝達フラックスが光合成電子伝達の4割ほどに達することを明らかにした。また、シアノバクテリアにおいて細胞外膜が細胞外電子伝達に与える影響を明らかにする研究に部分的に携わる中で、細胞外膜の剥離が本研究課題においても有効に働きうることを推定した。最終年度の終わりには、光合成および呼吸電子伝達を含めたシアノバクテリア電子伝達反応に関する総説を執筆し、光合成のリミッター解除を目指す上での重要な知見を再考した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
光合成電子伝達を抑制するリミッターとして、これまで関連分野における多くの研究ではチラコイド膜内外におけるプロトン勾配依存的な制御メカニズム (PREG) が注目されてきたが、還元により誘導される抑制(RISE)の生理機能や分子メカニズムについては未だ不明な点が多く、本研究で得られた知見は従来の視点とは異なる新たなコンセプトで光合成制御を操作する発想へと繋がるものである。 光合成の改変を目的とした研究には、主として遺伝子操作を用いることで光合成能力や環境ストレス耐性の向上を目指したものが多い。本研究で行った野生株ベースでの電気化学的なリミッター解除による光合成の促進は新奇アプローチといえる。
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