研究課題/領域番号 |
21K15152
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分45030:多様性生物学および分類学関連
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研究機関 | 杏林大学 |
研究代表者 |
橋本 晃生 杏林大学, その他部局等, 助教 (50836517)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 性選択 / 種多様性 / 共進化 / 交尾器進化 / カミキリモドキ科 / 化学防御 / テルペノイド / カンタリジン / 甲虫 / 配偶行動 / 昆虫 / カミキリモドキ |
研究開始時の研究の概要 |
昆虫の中には、交尾の際にオスが精子と栄養となる物質などを精包というパッケージにしてメスに渡すものがいる。カミキリモドキ科(甲虫目)の多くの種では、メスは精包を受け取って速やかに粉砕・消化するための刺が生えた交尾嚢という生殖器官をもち、その刺の生え方が種によって大きく異なる。しかし、このようなメス生殖器の多様性をもたらす要因に関する知見は乏しい。本研究では、オスの生殖器や精包の形質とメス生殖器形質との関連性を分析し、メス生殖器の多様化の背景を探る。
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研究成果の概要 |
カミキリモドキ科では、メスの交尾嚢形態は種によって異なり、棘の生える領域の長さは、精包の性状との関連性が示唆された。より大きな精包を与える種では、メスの卵に含まれる精包由来と予想される化学物質の推定含有量が多かった。日本産カミキリモドキ科の分子系統樹からは、交尾嚢の棘および精包形成は複数の系統で独立に獲得されたと考えられる。ナガカミキリモドキ属の一部の種でオス交尾器に大きな相対成長を認めたことを考慮すると、精包(婚姻贈呈物)の授与とその消化を巡って雌雄間の利害の対立が存在する可能性がある。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
一般に、交尾器形態はその他の部位よりも速く進化し、その背景として雌雄交尾器の接触による相互作用の影響が考えられてきた。本研究では、メスの交尾器形態の多様化は、オス交尾器との接触だけでなく、交尾時の婚姻贈呈物の形成による影響を受けてきた可能性を示した。その背景の1つとして考えられることは、婚姻贈呈物の生産(オス側)とその効率的消化(メス側)との間にある利害の不一致である。繁殖に関わる形質の速やかな進化のメカニズムとその背景を解明することは、どのように生物の多様性が形成・維持されているかを知るための鍵の1つとなりうる。
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