研究課題/領域番号 |
21K15211
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分46030:神経機能学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
播磨 有希子 国立研究開発法人理化学研究所, 生命機能科学研究センター, 基礎科学特別研究員 (20712946)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 交感神経 / 節前神経 / 腸機能 / 副腎髄質 / 消化器 / 臓器機能制御 / トランスシナプス標識 / 光遺伝学 |
研究開始時の研究の概要 |
脊髄損傷に関する研究の多くは運動機能の麻痺に着目しており、自律神経によって制御される生命に必須の調節機能の障害に関する治療法はほとんど確立されていない。 本研究ではマウスをモデルに、中枢神経系で使われているトランスシナプス標識、一細胞トランスクリプトミクス、光遺伝学といった最新ツールを交感神経の研究に応用する。これを用いて胃や小腸などの消化器を支配する交感神経を網羅的に同定し、遺伝学的多様性を決定し、機能解析を行う予定である。本研究の成果は、交感神経機能の特異的な制御技術に道を開き、将来的には脊髄損傷による消化機能の低下を緩和する治療法に繋がることが期待される。
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研究実績の概要 |
脊髄損傷などによって起こるさまざまな臓器機能不全は、患者のQOLを著しく低下させるにも関わらず治療法はほとんど調べられていない。しかし交感神経の操作によって臓器機能を自在に制御することができるようになれば、それらの問題を解決できるかもしれない。 交感神経は、脊髄に存在する節前神経から出発し、節後神経を介して臓器機能を制御する2段階構造を持つことが知られている。2021年のNature neuroscience誌に報告された脊髄における一細胞解析の結果から、節前神経の遺伝学的な特徴には多様性があることが報告されたが、それらの臓器特異性についてはまだ調べられていない。そこで、我々は下部胸髄に存在する異なる2種類の節前神経の特定に成功した。それらの投射先は異なり、Cartpt陽性節前神経は腹腔・上腸管膜神経節(CG/SMG)に軸索を投射し、Otr陽性節前神経は副腎髄質に軸索を投射することを明らかにした。今年度はそれぞれの節前神経をGq/DREADDシステムによって活性化させる系を立ち上げた。その結果、Cartpt陽性節前神経を活性化させると血糖値に影響を与えず腸機能を抑制し、Otr陽性節前神経を活性化させると腸機能に影響を与えず血糖値を上昇させることを明らかにした。このように、本研究は、腹腔臓器機能を制御する交感神経について異なる節前神経が異なる臓器機能を制御するということを見つけた初めての報告になる。
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