研究課題
若手研究
心臓の収縮・弛緩に伴う伸展や圧力といったメカニカルストレスは、心筋の動的バイオメカニクスを大きく変化させる。しかし、伸展というメカニカルストレスが心筋の収縮力を時空間依存的に制御するメカニズムの全容は未だ明らかではない。本研究では、機械受容チャネルであるTRPC6に着目し、マウス心臓から単離した心筋細胞への伸展負荷実験やマウス生体を用いた容量負荷心臓モデル実験でのTRPC6の遺伝子欠損による影響を詳細に調べることで、急性伸展刺激により心筋で誘発されるフランク・スターリング現象の分子制御メカニズムを解き明かす。
心臓の収縮・弛緩に伴うメカニカルストレスは、心筋の動的バイオメカニクスを大きく変化させるが、その制御機構の全容は未だ明らかではない。本研究では、機械受容チャネルであるTRPC6に着目し、マウス心臓から単離した心筋細胞への伸展負荷実験やマウス生体を用いた容量負荷心臓モデル実験でのTRPC6の欠損による影響を調べ、急性伸展刺激により心筋で誘発される収縮力増加反応(フランク・スターリング現象)の分子メカニズムの解明を目指した。心筋細胞レベルと個体レベルの実験を組み合わせた結果、TRPC6が細胞内亜鉛濃度を一定レベルに保ち、フランク・スターリング現象の制御に関わっていることが明らかとなった。
生理的な心臓において、TRPC6は細胞内亜鉛濃度を制御し、心筋の収縮力増大機構を抑制的に制御していると考えられる。そのため、TRPC6に対する特異性が高く心毒性が少ない阻害剤が開発できれば、TRPC6の阻害により心筋の細胞胞内亜鉛濃度を増大させ、収縮力を増大する新規作用機序の強心薬開発につながる可能性がある。これまでの強心薬では成し遂げられなかった心不全の生命予後を大きく改善する強心薬開発につながることが期待される。
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