研究課題/領域番号 |
21K15373
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分49010:病態医化学関連
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
長谷 拓明 大阪大学, 大学院薬学研究科, 助教 (80779926)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
|
キーワード | メタボローム解析 / リピドーム解析 / プロテオーム解析 / 免疫チェックポイント阻害剤 / 免疫チェックポイント / メタボローム / バイオマーカー / メタボロミクス / がん |
研究開始時の研究の概要 |
広く様々な癌に使用されているPD-1阻害薬はT細胞を活性化に導き、癌細胞を排除させる画期的癌治療薬である。しかし、その奏効率は20%程と言われており、PD-1阻害薬の有効な患者を予測する方法や治療効果を引き出す方法の確立が望まれている。我々は先行的な実験から血中代謝物に着目し、PD-1阻害薬の投与前に有効性を予測するバイオマーカー候補代謝物を得た。本研究ではバイオマーカー候補代謝物が癌種横断的に機能するか、そして血中濃度が調節される機序やPD-1阻害薬の薬効に及ぼすメカニズムを解析し、PD-1阻害薬の有効患者を予測する体制基盤の構築とその背景にある免疫チェックポイント分子機構解明を目指す。
|
研究実績の概要 |
大阪大学大学院医学系研究科 呼吸器・免疫内科協力のもと、非小細胞性肺がん患者を対象とした抗PD-1モノクローナル抗体ニボルマブに対するバイオマーカー同定を目標として、奏効患者10例および非奏効患者10例の探索コホートの解析を行うこととした。研究計画立案時においてはメタボローム解析の実施により奏効例を判別する代謝物の同定を予定していたが、この間当研究科における分析装置の拡充がなされトリプル四重極型質量分析装置を用いた包括的な脂質分析(リピドーム解析)およびオービトラップ型質量分析装置を用いた網羅的なタンパク質解析(プロテオーム解析)が可能となった。このようなマルチオミクス解析が実施可能となったことで、バイオマーカー候補の制御機構や分子の特性から予測され得る生理活性をも包括したシステマティックなアプローチが可能となった。血清におけるバイオマーカー探索を目指し、薬剤投与前の血清検体を用いた低分子の包括的測定およびプロテオーム解析を行い、そのデータをもとにバイオインフォマティクス手法を行うことで統合的な解釈を試みたところ、奏効例と非奏効例を隔てる要因にアポリポタンパク質の変化が示唆され、奏効例においてはリゾリン脂質の増加が起きていることを示す結果が得られた。これまで既報での免疫チェックポイント阻害剤への効果予測バイオマーカー探索研究において、未だ示されていない検討結果であり新たなバイオマーカー候補分子が得られたと考える。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画時点においてはメタボローム解析からバイオマーカー候補を取得し、その機能解析などに取り組む段階ではあるが現時点においてその検討は行えてはいない。ただし、前述のマルチオミクス解析からバイオマーカー候補が得られたことで、当初予定していた以上に免疫チェックポイント阻害剤に対する奏効例と非奏効例で異なる分子機序をより多角的に分析すること可能となった。この多角的な情報を活用することで免疫チェックポイント阻害剤への反応性が個人で異なる背景が理解できる可能性が得られた。また、バイオマーカー候補分子の機能に関する類推にも繋がることから、今後の研究がより加速するものと期待している。
|
今後の研究の推進方策 |
現在、探索コホートにてバイオマーカー候補分子が得られている。今後は検証コホートにて当該分子のバイオマーカーとしての妥当性を解析する。また、プロテオーム解析からその分子機序に関わると予想されたタンパク質も取得できていることから当該タンパク質についてELISAにより検討する。また、バイオマーカー候補分子の機能についても解析する。がん細胞への直接的な作用(増殖能、遊走能といった表現型解析や免疫チェックポイント分子発現の解析など)を検討する。
|