研究課題/領域番号 |
21K15403
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分49020:人体病理学関連
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研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
魏 峻洸 宮崎大学, 医学部, 助教 (30794656)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 癌関連血栓症 / 静脈血栓塞栓症 / 病理 / 静脈血栓症 |
研究開始時の研究の概要 |
担癌患者は血栓症を合併すること多く(癌関血栓症 Cancer-associated thrombosis: CAT)、中でも静脈血栓塞栓症の頻度が高い。静脈血栓塞栓症は、致死的な呼吸循環障害をきたしうる疾患で、その発症病態の解明は喫緊の課題となっているが、その発症機序は未だ明確にされていない。 本研究では、CATの血栓形成機序ならびに発症予測に有用な所見を明らかにすることを目的とする。
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研究実績の概要 |
本年度においては、回我々は剖検例を用いて、癌関連VTEの病理組織学的特徴を解析した。 宮崎大学医学部附属病院の連続剖検症例 (n=2,564) より、VTE症例 (n=180) を抽出し、担 癌VTE (n=114)と非担癌VTE (n=66)に分類し、臨床病理学的背景について比較を行った。血栓内癌細胞の有無、血栓関連因子の発現、血栓組成(赤血球、血小板、フィブリン、好中球外細胞トラップ)、器質化の程度について、VTE組織の病理組織学的解析を行った。癌関連VTEでは、27%の症例で血栓に癌細胞が確認され、深部静脈や肺動脈への浸潤、あるいは小集簇性に癌が存在していた。また血栓内癌細胞の41%に腫瘍壊死を認めた。免疫組織化学では、血栓内癌細胞の88%に組織因子あるいはポドプラニンの発現を認めた。好中球細胞外トラップは、初期の器質化血栓で発現が認められ、非担癌VTEとの発現差は明らかではなかった。これらの結果から、血栓内癌細胞が凝固因子や血小板凝集因子を発現することで、血栓形成を促進し、癌関連VTEの病態に寄与することが示唆された。 本研究は、多数症例において、人体病理に基づいた癌関連血栓症の特徴を明らかとした初の研究である。本研究成果は、国内学会発表、及び国際英文雑誌に掲載された (Gi T, Kuwahara A, Yamashita A, et al. Histopathological Features of Cancer-Associated Venous Thromboembolism: Presence of Intrathrombus Cancer Cells and Prothrombotic Factors. Arterioscler Thromb Vasc Biol. 2023;43:146-159.)
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、研究計画に基づき、血栓組織を多数例解析し、癌関連血栓症の病理組織学的特徴を明らかとした。研究成果については、国内学会での発表(日本動脈硬化学会総会)、ならびに英文国際誌(Arterioscler Thromb Vasc Biol)に報告を行った。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画書に基づいた動物モデルならびに血液チャンバーによる検討を開始する予定である。
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