代謝関連脂肪肝における新規原因候補FLP1の機能解析 -脂肪蓄積シグナル因子-

• 研究課題/領域番号: 21K15424
• 研究種目: 若手研究
• 配分区分: 基金
• 審査区分: 小区分49030:実験病理学関連
• 研究機関: 福岡大学
• 研究代表者: 藍原 大甫 福岡大学, 薬学部, 准教授 (10636567)
• 研究期間 (年度): 2021-04-01 – 2024-03-31
• 研究課題ステータス: 完了 (2023年度)
• 配分額: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円); 2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円); 2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円); 2021年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
• キーワード: 脂肪肝 / MAFLD / NAFLD / 核内受容体 / PPAR / 遺伝子発現制御 / OSBPL3 / 遺伝子発現調節 / 脂質代謝 / 肥満 / 糖尿病

研究開始時の研究の概要

代謝関連脂肪肝疾患 (MAFLD) の治療戦略のためには新しい原因因子を同定し、その因子に対する新薬の開発が必要と考えられる。本研究では MAFLD の新規原因因子の候補として、申請者らが肝特異的に PPARγ を欠損させた肥満・2 型糖尿病モデルマウスの肝臓から単離した fatty liver and PPARγ-dependent gene 1 (FLP1) の機能解析を行う。

研究成果の概要

本研究では、MAFLD における FLP1 の役割を調査することを目的とした。その結果、MAFLD 患者の脂肪肝における FLP1 発現は、健康なヒトの肝臓と比較して増加傾向であった。さらに、ob/ob マウスの脂肪肝における FLP1 の高発現は、肝特異的な Pparg の欠損により著しく低下した。また、マウス FLP1 遺伝子は、その 5' 上流領域に存在する機能的な PPARγ 結合配列を介して、PPARγ によって正に転写調節されていることが明らかになった。 以上より、FLP1 は、MAFLD における新規 PPARγ 標的として脂肪肝形成に関与している可能性があることが示唆された。

研究成果の学術的意義や社会的意義

本研究の成果から、FLP1 は脂肪肝モデルマウスの肝臓で高発現し、その発現は PPARγ によって直接的に制御されていることが明らかになった。さらに、FLP1 の発現は、ヒト MAFLD 患者において増加傾向を示すことが明らかになった。近年、FLP1 (OSBPL3) は、その下流に位置する脂肪酸合成関連遺伝子群の発現を調節することで、マウスの脂肪肝形成に関与しうることが示された。したがって、本研究で見出した新規脂肪蓄積シグナル (PPARγ-FLP1) 経路は、MAFLD 及びその他の関連病態の新たな予防・治療標的となる可能性がある。

研究成果

• [国際共同研究] アメリカ国立衛生研究所 (NIH)(米国)
• [国際共同研究] アメリカ国立衛生研究所 (NIH)/ジョージタウン大学(米国)
• [国際共同研究] アメリカ国立衛生研究所/ジョージタウン大学(米国)
• [雑誌論文] 核内受容体によるエピジェネティックな遺伝子発現制御を介した生体調節機構に関する研究：PPARAによる肝細胞増殖 (2024)
  • 著者名/発表者名: Aibara Daisuke
  • 雑誌名: 薬学雑誌 巻: 144 号: 2 ページ: 157-161
  • DOI: 10.1248/yakushi.23-00176
  • ISSN: 0031-6903, 1347-5231
  • 年月日: 2024-02-01
  • 査読あり / オープンアクセス
• [雑誌論文] Hepatocyte-specific CCAAT/enhancer binding protein α restricts liver fibrosis progression (2024)
  • 著者名/発表者名: Yan Tingting、Yan Nana、Xia Yangliu、Sawaswong Vorthon、Zhu Xinxin、Dias Henrique Bregolin、Aibara Daisuke、Takahashi Shogo、Hamada Keisuke、Saito Yoshifumi、Li Guangming、Liu Hui、Yan Hualong、Velenosi Thomas J.、Krausz Kristopher W.、Huang Jing、Kimura Shioko、Rotman Yaron、Qu Aijuan、Hao Haiping、Gonzalez Frank J.
  • 雑誌名: Journal of Clinical Investigation 巻: 134 号: 7
  • DOI: 10.1172/jci166731
  • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
• [雑誌論文] Oxysterol-binding protein-like 3 is a novel target gene of peroxisome proliferator-activated receptor γ in fatty liver disease (2023)
  • 著者名/発表者名: Aibara Daisuke、Sakaguchi Ai、Matsusue Kimihiko
  • 雑誌名: Molecular and Cellular Endocrinology 巻: 565 ページ: 111887-111887
  • DOI: 10.1016/j.mce.2023.111887
  • 査読あり / オープンアクセス
• [雑誌論文] Transcriptional regulation of adipogenin expression in liver steatosis by hepatic peroxisome proliferator‐activated receptor gamma (2023)
  • 著者名/発表者名: Aibara Daisuke、Sakaguchi Ai、Matsusue Kimihiko
  • 雑誌名: Genes to Cells 巻: 28 号: 8 ページ: 585-594
  • DOI: 10.1111/gtc.13052
  • 査読あり / オープンアクセス
• [雑誌論文] Gene repression through epigenetic modulation by PPARA enhances hepatocellular proliferation (2022)
  • 著者名/発表者名: Aibara Daisuke、Takahashi Shogo、Yagai Tomoki、Kim Donghwan、Brocker Chad N.、Levi Moshe、Matsusue Kimihiko、Gonzalez Frank J.
  • 雑誌名: iScience 巻: 25 号: 5 ページ: 104196-104196
  • DOI: 10.1016/j.isci.2022.104196
  • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
• [雑誌論文] Lipase family member N is a novel target gene for CCAAT/enhancer-binding protein α in type 2 diabetic model mouse liver (2022)
  • 著者名/発表者名: Aibara Daisuke、Matsuo Kohei、Matsusue Kimihiko
  • 雑誌名: Endocrine Journal 巻: 69 号: 5 ページ: 567-575
  • DOI: 10.1507/endocrj.EJ21-0465
  • NAID: 130008144911
  • ISSN: 0918-8959, 1348-4540
  • 査読あり
• [雑誌論文] Feedback repression of PPARα signaling by Let-7 microRNA (2021)
  • 著者名/発表者名: Yagai Tomoki、Yan Tingting、Luo Yuhong、Takahashi Shogo、Aibara Daisuke、Kim Donghwan、Brocker Chad N.、Levi Moshe、Motohashi Hozumi、Gonzalez Frank J.
  • 雑誌名: Cell Reports 巻: 36 号: 6 ページ: 109506-109506
  • DOI: 10.1016/j.celrep.2021.109506
  • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
• [雑誌論文] Suppressing the intestinal farnesoid X receptor/sphingomyelin phosphodiesterase 3 axis decreases atherosclerosis (2021)
  • 著者名/発表者名: Qing Wu, Lulu Sun, Xiaomin Hu, Xuemei Wang, Feng Xu, Bo Chen, Xianyi Liang, Jialin Xia, Pengcheng Wang, Daisuke Aibara , Shaofei Zhang, Guangyi Zeng, Chuyu Yun, Yu Yan, Yicheng Zhu, Michael Bustin, Shuyang Zhang, Frank J. Gonzalez and Changtao Jiang
  • 雑誌名: Journal of Clinical Investigation 巻: 131(9) 号: 9 ページ: 142865-142865
  • DOI: 10.1172/jci142865
  • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
• [学会発表] 脂肪肝における adipogenin 遺伝子の発現制御 －C/EBPα の関与－ (2024)
  • 著者名/発表者名: 藍原大甫, 税所佑太, 坂口愛, 松尾康平, 松末公彦
  • 学会等名: 日本薬学会第 144 年会
• [学会発表] 脂肪肝における Gpnmb 遺伝子の PPARγ による発現制御 －肝臓の脂肪蓄積における新規シグナル伝達経路－ (2023)
  • 著者名/発表者名: 浅田健人, 藍原大甫, 平井貴壮, 坂口愛, 松尾康平, 松末公彦
  • 学会等名: 日本薬学会第 143 年会
• [学会発表] 脂肪肝で高発現する adipogenin 遺伝子の PPARγ による発現調節機構 (2023)
  • 著者名/発表者名: 藍原大甫, 中野明日香, 橋本楓乃, 坂口愛, 松尾康平, 松末公彦
  • 学会等名: 日本薬学会第 143 年会
• [学会発表] 脂肪肝における Adig 遺伝子の発現解析 －PPARγ による発現制御－ (2023)
  • 著者名/発表者名: 藍原大甫, 中野明日香, 橋本楓乃, 坂口愛, 松尾康平, 松末公彦
  • 学会等名: フォーラム 2023：衛生薬学・環境トキシコロジー
• [学会発表] Transcriptional regulation of the Osbpl3 gene by PPARγ in the fatty liver disease (2023)
  • 著者名/発表者名: Daisuke Aibara, Ai Sakaguchi, Kimihiko Matsusue
  • 学会等名: 2023 International Joint Meeting of the 23rd International Conference on Cytochrome P450 and the 38th Annual Meeting of the Japanese Society for the Study of Xenobiotics [2023 ICCP450/JSSX]
  • 国際学会
• [学会発表] 肝 PPARγ の新規標的遺伝子 Gpnmb の発現制御メカニズム (2023)
  • 著者名/発表者名: 藍原大甫, 浅田健人, 坂口愛, 松尾康平, 松末公彦
  • 学会等名: 第 40 回日本薬学会九州山口支部大会
• [学会発表] 脂肪肝で高発現する Osbpl3 遺伝子の PPARγ による発現調節機構 (2022)
  • 著者名/発表者名: 藍原大甫, 高田紘佑, 橋本楓乃, 坂口愛, 松尾康平, 松末公彦
  • 学会等名: フォーラム 2022 衛生薬学・環境トキシコロジー
• [学会発表] 肝 PPARγ の新規標的遺伝子 Osbpl3 の発現制御メカニズム (2022)
  • 著者名/発表者名: 藍原大甫, 高田紘佑, 橋本楓乃, 坂口愛, 松尾康平, 松末公彦
  • 学会等名: 第 39 回日本薬学会九州山口支部大会
• [学会発表] 核内受容体によるエピジェネティックな遺伝子発現制御を介した生体調節機構に関する研究 (2022)
  • 著者名/発表者名: 藍原大甫
  • 学会等名: 第 39 回日本薬学会九州山口支部大会
  • 招待講演
• [学会発表] 脂肪肝における Gpnmb 遺伝子の PPARγ による発現制御 －肝臓の脂肪蓄積における新規シグナル伝達経路－ (2022)
  • 著者名/発表者名: 浅田健人, 藍原大甫, 平井貴壮, 坂口愛, 松尾康平, 松末公彦
  • 学会等名: 日本薬学会第 143 年会
• [学会発表] 脂肪肝で高発現する adipogenin 遺伝子の PPARγ による発現調節機構 (2022)
  • 著者名/発表者名: 藍原大甫, 中野明日香, 橋本楓乃, 坂口愛, 松尾康平, 松末公彦
  • 学会等名: 日本薬学会第 143 年会
• [学会発表] 2 型糖尿病モデルマウスの脂肪肝における Lipn 遺伝子の発現制御 -C/EBPα の関与- (2022)
  • 著者名/発表者名: 藍原大甫、光本悠華、高木美空、松尾康平、松末公彦
  • 学会等名: 日本薬学会第 142 年会
• [学会発表] 肝 C/EBPα の新規標的遺伝子 Lipn の発現調節機構 (2021)
  • 著者名/発表者名: 藍原大甫、光本悠華、松尾康平、松末公彦
  • 学会等名: 第 38 回日本薬学会九州山口支部大会