研究課題/領域番号 |
21K15491
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分50010:腫瘍生物学関連
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
佐藤 健 横浜市立大学, 附属病院, 助教 (50806106)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2022年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2021年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 膵臓癌 / 癌関連線維芽細胞 / STING |
研究開始時の研究の概要 |
膵癌は増加傾向にある5年生存率が10%に満たない予後不良な疾患である.局所浸潤や転移を起こしやすく,治療抵抗性であることが多いが,重要な機序として膵癌では間質が極めて豊富であることが挙げられている.本研究では,癌細胞-間質の相互連関を担う因子として,腫瘍核酸のセンサーであるSTING経路に焦点を当て,様々な側面・手法からこの分子を治療ターゲットとする根拠の確立をねらいとして,膵癌マウスモデルにおけるSTING経路の役割の検討,そのメカニズムとして癌関連線維芽細胞に着目し,STING経路の活性化機構や癌進展,抑制への関与の検討,STING経路の制御による治療法の提言を行う.
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研究成果の概要 |
膵癌は5年生存率が10%に満たない予後不良な疾患である.膵癌は間質が極めて豊富であることが特徴とされる.間質構成成分の中で癌関連線維芽細胞(CAF)に着目し,癌細胞と間質の相互連関を担う因子として,核酸のセンサーであるSTING経路に焦点を当て,細胞レベル・動物モデルでの検討を行った.結果として,マウスの皮下移植モデルにおいて腫瘍間質のCAFにおけるSTINGをアゴニストによって刺激することで,INFβなどのサイトカインの発現が亢進し,腫瘍抑制効果が得られた.一方で,アゴニスト以外にSTINGを活性化する因子の同定には至らず,STINGを治療標的とするためには課題が多い結果となった.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
今回の検討で,膵癌の間質に豊富に存在する癌関連線維芽細胞(CAF)のSTINGを活性化することで腫瘍抑制効果が得られる可能性が示唆された.しかし,STINGアゴニスト以外にSTINGを活性化する因子を同定することが出来ず,またSTINGアゴニスト自体も腫瘍縮小効果を得るには腫瘍に直接投与する必要があるなど,STINGを膵癌の治療標的とするには課題が残る結果となった.STING経路の活性化はINFβなど腫瘍免疫を活性化するサイトカインの発現を亢進すると考えられ,何らかの方法でCAFのSTINGを活性化することが出来れば,治療標的としての道が開ける可能性があり,今後の検討課題と考える.
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