研究課題/領域番号 |
21K15592
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分50020:腫瘍診断および治療学関連
|
研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
飯田 雄一 島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 助教 (50734985)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2022年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2021年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
|
キーワード | がん免疫療法 / CCL19 / 間葉系幹細胞 / 細胞療法 / 同種移植細胞療法 / 細胞移入療法 / ケモカイン / 免疫チェックポイント阻害抗体療法 |
研究開始時の研究の概要 |
免疫チェックポイント阻害療法の奏効率を改善するためには、がん免疫応答サイクルを正常に回す必要がある。申請者は、効率よく抗原提示細胞やT細胞を腫瘍に集積させ免疫チェックポイント阻害療法の奏効率を改善する治療法をマウスモデルで報告してきた。しかしながら、臨床応用を考慮すると、がん患者からMSC/CCL19を単離・樹立し拡大培養したのちに投与を行う自家移植は莫大な時間と治療費を必要とする。本研究は、他家移植を目指した非自己(アロ)MSC/CCL19による腫瘍抑制効果の検討およびメカニズムの解明を目的としており、上述した課題をクリアした新規がん免疫療法になる可能性を秘めている。
|
研究実績の概要 |
我々はこれまでに、マウス骨髄から単離した間葉系幹細胞にケモカインCCL19遺伝子を導入したCCL19発現間葉系幹細胞(MSC/CCL19)を樹立してきた。担がんマウスを用いて抗腫瘍効果を検討したところ、MSC/CCL19局所投与群で顕著な腫瘍抑制効果を認めた。本課題では、MSC/CCL19の他家移植の可能性を検討するべく、同種担がんマウスを用いて実験を行った。 アロMSCの腫瘍残存性を調べるため、BALB/c由来CT26がん細胞およびアロ(C57BL/6由来)MSC/CCL19をBALB/cマウスに皮下接種し、PCR法を用いて経時的にアロMSCの腫瘍内残存性を確認した。比較対象として接種したアロ線維芽細胞は接種後8日後で残存を確認できなかったのに対し、アロMSC/CCL19は8日後でも解析した全ての個体で腫瘍内に残存していた。また、治療モデルにおいて、CT26を皮下接種して14, 16日後にアロ(C57BL/6由来)MSC/CCL19を局所投与した実験では、全ての個体(7/7)で腫瘍を拒絶した。これら腫瘍拒絶したマウスの脾蔵内にはH-2bに対するアロ反応性 T細胞が誘導されていた。アロMSC/CCL19の局所投与 は顕著な抗腫瘍効果を発揮し、この腫瘍抑制にはアロ反応性T細胞によるbystander効果の可能性も示唆された。また、アロMSC/CCL19局所投与による抗腫瘍効果はCD4,CD8抗体により減弱したため、T細胞依存的であることが確認された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究マテリアルの準備、実験計画書等の準備がスムーズに進み、進捗に問題なく実験が遂行できている。
|
今後の研究の推進方策 |
抗腫瘍効果のメカニズムとして、アロ反応性のT細胞bystander効果による可能性が示唆されたが、今後は抗腫瘍効果を発揮するエフェクター細胞の同定を行う。具体的にはフローサイトメトリーによる腫瘍浸潤細胞の解析および所属リンパ節内で腫瘍特異的T細胞が誘導されているかを検討したい。
|