研究課題/領域番号 |
21K15728
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分52030:精神神経科学関連
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研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
ベナー 聖子 浜松医科大学, 医学部, 特任助教 (70772002)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
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キーワード | コモンマーモセット / 全自動行動解析 / 認知行動試験 / コモン・マーモセット / 自閉スペクトラム症 / 全自動行動記録システム / データ駆動型研究 / ASD動物モデル研究 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、高度かつ多様な社会性行動を持つコモン・マーモセットを用いて、自閉スペクトラム症(ASD)の生物学的基盤を明らかにし、創薬に繋げる新たな動物モデル研究手法の確立を目指す。発声コミュニケーションや表情の使用など、コモン・マーモセットが本来持つ豊かな行動から、臨床対応性に優れる表現型情報を得るために、(1)行動学的/生態学的特性への最適化を図ったエンリッチメント環境を構築し、その中で多頭飼育しながら、(2)各個体の日常的な行動イベントを無線通信技術によって非接触・全自動で追跡する「生態観察型(ビバリウム型)」行動記録システムを構築する。
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研究実績の概要 |
精神医学領域における非臨床モデル動物としてのコモンマーモセット(以下、マーモセット)の集団生活下の多様な行動レパートリーや生理指標を24時間365日、全自動記録可能な研究手法を確立し、これを次世代トランスレーショナル研究の礎とすべく研究を進めている。本研究では、とくに自閉スペクトラム症に焦点をあて、ヒト症状に対応性の高い行動表現型の取得を目指す。本年度の成果として、まず、集団飼育下マーモセットの多様な行動レパートリーの経時観察を行うため、欧州の複数のマーモセット研究グループとの議論のもと、4.7 m × 3.8 m × 2.5 mサイズのエンリッチメント飼育実験環境を構築した。その中で丸1年間、マーモセットの飼育と観察、自動化された行動データ収集を行った。集団飼育下マーモセットの全自動行動解析系の開発状況として、RFID技術を応用した多様な認知行動・生活行動ロギングシステムを確立した。具体的には、マーモセットの皮下にマイクロチップを埋め、RFIDアンテナを生活空間内に自由に多数配置することで多種多様な生活行動を記録するFLEX-IDシステム、そしてRFIDとオペラント試験装置を組み合わせた認知行動試験システムの2つの測定系を構築し、前者については既に1年間データ収集を継続し、後者についてはデータ収集を開始している。また、ウェアラブル生体計測技術を応用した全自動行動解析系のために有用なジャケットを独自に開発し、ウェアラブルデバイスを用いた個体間距離・発声・生理指標の収集という3つの技術開発プロジェクトを平行して進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
マーモセット多頭飼育に適したエンリッチメント環境の整備を完了し、またRFIDベースの無線通信技術による日常生活のロギングシステムによる長期全自動計測を実現した。既に得られたデータより、個体間行動同調性等の社会指標について解析の目途が立っている。さらに、オペラント試験装置を用いた認知行動試験システムの測定系の確立にも成功した。
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今後の研究の推進方策 |
FLEX-IDシステムの拡張・改良を行いつつ、これまでに取得したデータより集団生活下マーモセットの日常生活行動・認知行動試験データの解析を進め、自閉スペクトラム症トランスレーショナル研究に有用な行動指標を複数抽出する。集団飼育下のマーモセット個体間距離・発声・生理指標を検出するための技術開発と実用化検討を行う。
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