研究課題
若手研究
近年、ヒトパピローマウイルス(HPV)関連の頭頸部癌が増加しており、特に中咽頭癌で顕著である。HPV陽性の中咽頭癌は放射線治療の感受性が良好で予後良好と考えられている。しかし、このメカニズムについては未解明の部分が多い。先行研究で中咽頭癌の放射線治療患者の治療前生検標本において、p16発現に加えてPD-L1とCD8が高発現である患者群が予後良好であることを解明した。それらの成果を発展させ、他の頭頸部癌でも腫瘍免疫関連蛋白の発現と放射線治療成績の相関を解明すると共に、これらの結果を臨床応用に結びつけることが本研究の概要である。
中咽頭扁平上皮癌の放射線治療の結果に影響を及ぼす腫瘍免疫に関与するタンパク質の発現の影響について研究を行った。腫瘍の免疫微小環境と放射線治療成績の関係について、CD4陽性細胞傷害性T細胞が認識する癌細胞のHLA class Ⅱ、制御性T細胞マーカーであるFoxP3の発現を中咽頭癌の生検検体を用いて検討した。腫瘍細胞のHLA class Ⅱが高発現で、腫瘍近傍にFoxP3の浸潤を多く認める症例で予後良好であった。従来の予後因子に加えることで治療成績の予測精度の向上につながると思われた。
中咽頭癌において、腫瘍免疫関連蛋白の一つであるHLA class Ⅱが高発現で、腫瘍近傍にFoxP3の浸潤を多く認める症例で放射線治療成績が良好であることが研究成果として示された。今後癌細胞の腫瘍免疫関連蛋白を用いた放射線感受性予測の臨床応用や、個別化放射線治療の実用化の一歩となる成果と考えられる。
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