研究課題/領域番号 |
21K15793
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分52040:放射線科学関連
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研究機関 | 大阪医科薬科大学 |
研究代表者 |
呼 尚徳 大阪医科薬科大学, 医学部, 特別職務担当教員(講師) (90846908)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | ホウ中性子捕捉療法 / 中性子フィルター / 中性子コリメータ / ホウ素中性子捕捉療法 / 深部線量向上 / 治療計画 / BNCT / Neutron / Monte Carlo simulation / Beam shaper / Collimator / Neutron filter / Thermal neutron |
研究開始時の研究の概要 |
我が国では次世代放射線治療法として期待されるBNCTのプロジェクトが進行しており、原子炉に替わり病院に設置可能な、加速器BNCTシステムが国内の複数の病院に導入されている。本研究では最適な素材、厚みのフィルターを用いて、体深部での熱中性子量を相対的に増やす手法を構想した。また、中性子ビーム射出孔(コリメータ)の全面あるいは一部をこのフィルターで覆うこと等により、深部での生成熱中性子密度に意図的な不均一を作ることも可能になる。この考案を、X線による強度変調放射線治療に似た手法(Intensity Modulated Boron Neutron Capture Therapy:IM-BNCT)へと発展させ、IMRTがX線治療を革新した如くBNCTの革新を目指す。
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研究成果の概要 |
2021年度に行った実験結果をまとめて米国医学物理学術誌に論文投稿した。2022年度には、中性子の強度を2倍程度増やすことに成功し、この成果をNatureのScientific Reports誌に投稿した。最終年度では2021,2022年に最適化した中性子フィルターとコリメータ面積を広げた新しい中性子コリメータ(延長コリメータ)を組み合わせて線量計算を行った。2021年度の課題であった照射時間がこの延長コリメータと組み合わせることで照射時間を短くすることに成功した。この研究成果を日本・台湾BNCT研究会(台湾開催)で発表をした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
これまで、BNCTで治療可能な深さは約6-7 cmであり、腫瘍に治療効果をもたらす前に正常な組織に許容される線量が先に到達するためである。本研究で開発した中性子フィルターは、熱中性子分布を整形できることを示しており、フィルターを患者の前に置くことで低エネルギーの熱中性子を減少させ、皮膚への線量を減少させることができる。さらに、中性子の平均エネルギーを高くさせ、より貫通力のあるビームが実現された。このフィルターを使用することで、治療可能な深さは9-10 cmに増加した。これにより、将来的にはこのフィルターを使用することで、より多くの患者がBNCTの対象となると考えている。
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