研究課題/領域番号 |
21K15989
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分53010:消化器内科学関連
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
中塚 拓馬 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (50772042)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2023-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2021年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
|
キーワード | 非アルコール性脂肪性肝疾患 / 脂肪肝 / エピゲノム異常 / ヒストン修飾 / ヒストンメチル化 / G9a / NAFLD / エピジェネティクス |
研究開始時の研究の概要 |
非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)は極めて有病率の高い生活習慣病の1つであるが、有効な薬物治療がなく新規創薬につながる病態解明が望まれる。 エネルギー代謝を担う遺伝子発現制御にはエピジェネティック機構が関与するが、ヒストンH3の9番目リシン(H3K9)のメチル化修飾は脂質代謝に関連した遺伝子発現制御に寄与することが知られる。我々はH3K9メチル化酵素G9aに着目し、マウスモデルを用いた検討の結果、G9aが脂肪肝形成に深く関与する可能性を見出した。本研究はG9a阻害によるNAFLD治療の可能性を追求し、NAFLDに対するエピゲノム医薬創出の橋渡しとなる成果を得ることを目的とする。
|
研究成果の概要 |
脂肪肝の形成過程において様々なエピゲノム変化が関与することが知られる。ヒストンメチル化酵素G9aを肝特異的に欠損したマウスを用い、G9aが欠損した肝では高脂肪食を摂取した際の脂肪肝の形成が抑制されるとともに、体重増加やインスリン抵抗性の改善も見られることを明らかにした。マウス肝を用いた網羅的遺伝子解析により、G9a欠損肝においては高脂肪食摂取時にPPAR、LXR、RXRといった脂質代謝に関与する転写因子により制御される遺伝子群が変動していた。特に肝細胞への脂肪酸取り込みに関与するCd36の発現がG9a欠損肝で低下しており、脂肪肝改善に関与する可能性が示唆された。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
非アルコール性脂肪性肝疾患は世界中で増加しており健康保健上の大きな問題となっているが、未だ有効な薬物療法が存在しない。生活習慣病を含む様々な病態にエピゲノム異常が関与することが知られているが、本研究の成果によりエピゲノム修飾因子のひとつであるヒストンメチル化酵素G9aが脂肪肝形成やインスリン抵抗性に重要な役割を担うことが明らかとなった。G9a阻害剤により脂肪肝の病態進展を抑制できる可能性があり、脂肪肝に対する新規創薬のたーでっととなることが期待される。
|